コダモンです。(@kodamon)
日本の大手企業で会社員をしていましたが、当時はワークライフバランスが崩壊していました。
そんな『日本企業の働き方』がお腹いっぱいになった後は、ドイツのグローバル企業に転職。
ドイツ人はほぼ残業をしないし、『余暇』と『休暇』をとても大切にします。
違いは大きい
会社員が「定時に帰れない…」「休めない…」という日本にありがちな働き方は、世界的に見ても普通ではないのです。
「休みたい時に休めないなら、辞めます」
ドイツの会社員は仕事が終わった人からさっさと帰るし、有給休暇も平均日数28日を全消化します。
そんな海外とは対照的な、日本の職場。
とあるアパレルメーカー勤務の23歳の方(桜木さん; 仮名)の実体験が紹介されている記事から、抜粋です:
「え? だって入社したときには、“休みはしっかり取れ”って言ったじゃん!」
周囲に迷惑をかけないよう、休みの前には猛スピードで仕事を進めようと張り切っていたのに。休みが取りやすいという環境も入社の大きな動機だったのに──。反発心に火が付き、収まらず、こう言い放った。
「せっかく与えられた初めての有給休暇なのに、休みたいときに休めないんなら、辞めます」
その瞬間、上司の苦笑いは消え、表情がこわばった。『取得OK』と申請が通ったのは、その翌日のことだった。
(AERAdot.,「休めないなら辞めます」イマドキ20代が余暇を優先する理由,2020年4月時点)
このようなケースは極端な話ではなく、『上司が休暇申請をしぶる・突っ返す』というシチュエーションは日本企業にありがち。
会社の古い慣行や職場の常識でしか物事を考えられない、思考停止な会社員が多いのです。
「最近の若者は入社1年目なのに有給休暇を取ろうとする…」
「社会人としての自覚がない!」
おっさん世代の古い考えの人からは、そのような声が聞こえてきます。
休まないのが美徳?
労働者に与えられる年間有給休暇は、当然の権利として消化されるべきものです。
年次有給休暇は、法律で定められた労働者に与えられた権利です。正社員、パートタイム労働者などの区分に関係なく (中略) 要件を満たした全ての労働者に、年次有給休暇は付与されます。
(厚生労働省,年次有給休暇促進特設サイト,2020年4月時点)
労働基準法では有給休暇の申請に会社の許可は必要ないとされています。その取得に、本来は理由はいらないのです。
「何で休むの?」はダメ
日本の会社員は、若手の頃から「残業は頑張ってる証拠!」「休まないで働くのが当たり前!」…という労働環境で鍛えられる。
そのため、同様の働き方を若い世代にも押し付けます。
結果として、部下が”勝手に”有給休暇を取ろうとすると「はぁ!?」という輩がいる。
手に負えない
『仕事を早く終えて定時に帰る』『休みの前に仕事を終える』そのような働き方が正当に評価されない環境が、日本の職場にはあります。
休むためのハードルが高すぎる日本
「休めないのなら、辞めます!」
このように言わなければいけない会社員は、『最終手段』を出すほど追い詰められています。
「辞める」とまで言及しないと上司に伝わらない。そこに大きな闇があります。
それほど休みが取り辛い
そもそも、日本の会社は『社員を休ませない事』に特化しています。
病院に行くにも有給休暇を消化させられて、休暇の申請に対して理由を問い詰める上司もいる。
職場の誰もが休まず働いて長時間労働を繰り返す。メリハリのない、リフレッシュができない働き方でワークライフバランスが崩れます。
負のループ
(労働問題弁護士ナビ,有給休暇の取得は『私用』でOK|断られた時の対処法,2020年4月時点)
海外でもそうですが、ビジネスの現場では主張が強い者が勝ちます。
そしてそれは、自分の当然の権利である『有給休暇』をめぐる上司に対する意見でも同様。
ビジネスの存続にかかわる重大な繁忙期などは別ですが、それ以外のケースでは基本的に会社は社員の有給休暇申請を却下してはダメ。
だって労働者の権利
そのため、頭ごなしに申請を断るようなブラックな職場においては『言ったもの勝ち』という解釈もできます。
ストレス職場で消耗しないためには、「休めないなら、辞めます」という気持ちで意見しないと…何も変わらないのです。
「自分ファースト」な働き方の台頭
会社に望むのは給料が増えることより、休日が増えること-。今年度の新入社員が『働き方』を重視する傾向にあることが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが9日、公表した意識調査で明らかになった。
(産経ニュース,新入社員意識調査,2020年4月時点)
新入社員が会社に望むことが、調査開始以来はじめて「休日」が「給料」を上回ったという記事。
最近の若者が就職時に重要視するのは、『余暇の時間』なのです。
いいじゃん
要するに、給料が高くて休めない会社よりも『休暇が取りやすい会社』の方が今の若者にとっては魅力的だという事。
記事の中では、「会社に尽くすのではなく私生活を重視する『自分ファースト』のライフスタイルだ」という表現があります。
「会社の付き合いよりも自分の時間が大事!」
「仕事だけでなく私生活も充実させたい!」
そのように、私生活を会社に干渉されたくない人が増えている。
そして、そのような人たちは『自分ファースト』で社会人生活を送ろうとしている。プライベートの充実を最優先に働く…という解釈もできます。
健康的
このような働き方は、ドイツなど欧米諸国では当たり前。個人主義のドイツ人は、職場にいくらでも『自己都合』や『家庭の事情』を持ち込みます。
そして…ドイツ人は2〜3週間のまとまった長期休暇を平然と取得する。コンプライアンスの観点からも、労働者の権利である有給休暇は全消化がドイツではマストです。
集団的に、周りの行動に合わせて働くのではなく、「仕事は仕事!」と割り切って私生活を充実させるために働くこと。
そのような働き方を目指す世代の台頭により、「休めないなら、辞めます」という発言が生まれるのです。
「自分ファースト」がNGな日本の会社
『自分ファースト』の考え方は、残念ながら日本の会社でいとも簡単に一蹴されてしまうことでしょう。
集団行動が得意な日本社会では「足並みを揃えろ!」「周りに合わせろ!」というプレッシャーがある。
また、日本企業には「会社が生きがい!」「会社は家族だ!」みたいな自己犠牲の精神で働く人もいまだに存在します。
日本では転職に対するネガティブなイメージがあるし、大企業に勤めて将来安泰と勘違いする人が大勢います。
大手もリストラする時代だが…
結果として、「社員が辞めない事」を前提として経営される企業組織の中で、周囲の働き方に合わせることが求められるのです。
先輩後輩の上下関係も強く、上司が帰るまで帰らない人も大勢いる。
しかし…。
今の若者は、終身雇用なんかまったくアテにしていない。
「会社が一生めんどう見てくれる」などと思っていないのです。
賢い
「新人は下積みが大事だ!」「若いうちに残業して学べ!」そのように言う古い世代の会社員。若い世代との意識のギャップは大きいです。
「プライベートを充実させたい!」
「自分の時間を大切にしたい!」
そのような考えで有意義な社会人生活を送りたい若者は多く、『職場事情』など気にせず「自由に有給を使いたい!」というのが本音です。
そして、古い世代の人はそれをなかなか理解できない。「若いやつは働き方を知らない!」「根性がない!」などの的外れな意見も出てきます。
日本の会社にはワークライフバランスがなく、その原因は『古い慣行』『職場のルール』『仕組み』などの中でしか働けない人達にもあります。たくさん残業して会社に尽くす事が評価につながると勘違いする人間が大勢いるので、余暇を充実させるために別行動をすると「和を乱すな!」「自分勝手だ!」という同調圧力をかけられる。余暇を充実させたい人にとって『壁』となります。
若者が求める『自分ファースト』の考え方は、今の日本社会では実行する事が難しい。
それでも、欧米諸国のように『個人』の働き方と目的を優先させて企業とドライな関係をキープする事はとても重要。
自分の仕事に専念して、仕事が終わればさっさと帰る。
会社員は組織の中にたくさんある『歯車の1つ』です。代わりはいくらでもいるかもしれないし、歯車が1つくらい壊れたって…誰も気にしない。
そんなもん?
若者が求める『自分ファースト』の考え方は、終身雇用が崩壊する今後の日本企業において正しいスタンスなのです。
「休みが欲しい」は自分本位じゃない
日本企業で叩き上げられた会社員の多くは、仕事をしていないと自分の価値が見出せない人。
たくさん残業をして、休日を返上して働く人には…「仕事以外にする事がない」と言う人もいます。
そのような人間が働く組織の中では、労働者の当然の権利である有給休暇を取るだけで「自分本位だ! 」と言われてしまう。
なんのこっちゃ
『自分ファースト』ではなく、『会社ファースト』な会社員。
有給休暇を取ることがあたかも『悪い事』であるかのように振る舞う人達。
「休んだら誰が仕事をするんだ!?」「納期は守れるのか!?」そのように圧をかけて、職場環境をとことん休めない仕様に仕立て上げる。
その結果…。
「すみません…。来週金曜日はお休みをいただきます…」
そのような超低姿勢で、おそるおそる『労働者の当然の権利』であるはずの有給休暇を申請する環境が出来上がります。
休んだら…悪い事?
「休んだら職場に迷惑がかかる…」「上司も休まないから休めない…」そのような不安だけが先行してしまう。
部署の誰かが休むだけで仕事がまわらなくなるのは、他でもない上司や経営層の責任です。
従順な社員に甘えてる
休みを取る人は、その『穴埋め』や『代替社員』などとは無関係。労働基準法でしっかりと守られています。
厚生労働省も、休暇の促進が企業に次のような効果をもたらすとしています:
- 代替業務をこなすために従業員の多能化促進の機会となる
- 交替要因への権限委譲の契機となり、従業員の育成につながる
- 休暇の有効活用により、休暇取得者のキャリアアップを図ることができる
(厚生労働省,有給休暇ハンドブック,2020年4月時点)
日本企業の『休みが取りづらい環境』は国レベルで認知されているので、このような文言があるわけです。
それなのに…。実際は誰も率先して休もうとしないし、休みたい時に休めない。古い体制・思考のままの職場が多いのです。
このような状況だからこそ、「休めないなら、辞めます」と言える世代の台頭がとても重要なのです。
給料よりも休暇を求める事は、まったく自分本位ではない。
それでいい
日本は、有給休暇の取得率が3年連続で世界の『最下位』です。
(エクスペディア調べ,2020年4月時点)
ストレス社会では、定期的に自分が休みたいタイミングで休むことが大切。
労働者の当然の権利である「休む権利」は、1年を通してリフレッシュしながら『健康に働くため』にあります。
有給休暇の取得は、『自分ファースト』でもいいのです。
コメント