コダモンです。(@kodamon)
日本の大手企業を辞めて、ドイツで転職しました。
ドイツの会社の職場環境。そして、ドイツ人の残業との向き合い方。
日本とドイツの両方でサラリーマンをやってみたハーフが語ります。
ドイツ企業に転職したらストレスが減った!
日本で働いていた当時はストレスまみれのサラリーマン生活を送っていました。
結論から言えば、転職したら人生が楽しくなった。
今はドイツで気ままに会社員をしています。
転職先はこれまでと同じ分野・業界で、同じ営業職です。
それなのに、仕事のストレスが日本より断然少ない。
ドイツでは、毎朝8時前後に出社して夕方5時くらいに退社する事が多いです。

毎日ほぼ定時帰宅
日本では基本的に激務と言われる営業職。
4年半ほど勤めていた日系企業で法人営業していた当時、定時に帰宅した事なんてほとんど無かったです。
その反面、現在勤めているドイツ企業では夕方6時以降オフィスに残っている事の方が逆に珍しい。
業種や職種は変わっていないのに、『ドイツで働いている』というだけで仕事のストレスが格段に減ったのです。
同じ仕事なのに、国が変わるだけでこうも違う。

なんでこんなに違うの?
もちろん、国が変われば文化や習慣も大きく変わるため、そこで働く人の考え方や取り巻く環境も変わります。
しかし…。
それらを踏まえても、違いが大きすぎる。
日本で働いていた時はストレスまみれで、心身をたくさん消耗しました。
- 上司が帰るまで続く残業
- 仕事の延長でしかない会社の飲み会
- 休日に飛んでくる上司からのメール
ストレスを抱えながら働くことは、日本では「社会人なら当たり前!」と言われます。会社の人間はみんな申し合わせたように長時間労働を繰り返す。
オフィスを見渡せば、上司も同僚も毎日せっせと残業している。

仕事がなくてもとりあえず残業
海外生活が長かった自分はそのような環境がなかなか理解できず、結局最後まで『日本の社会人』になりきれませんでした。
日系の大手企業に勤めていた4年半という期間は、辛いことを我慢して耐え忍ぶ日々の繰り返し。
やりがいを感じる余裕もないほど、毎日ヘロヘロ。
自分が経験した日本の会社員生活はストレスまみれという表現がピッタリでした。

そんで辞めた
その後ドイツ企業に転職したのですが…。
日本とドイツの働き方を実際に経験してみて、日本の働き方はヤバいという事を再認識したのです。
ドイツ人の働き方とは?

まず、ドイツ人について。
ヨーロッパ有数の経済大国でもあるドイツですが、そこで企業勤めをするドイツ人の多くは家族ファーストで働いています。

仕事よりファミリー優先
そして同時に、『自分ファースト』でもある。
そんなドイツ人は、仕事の場にも惜しみなく『家庭事情』や『自己都合』を持ち込んで来ます。
自分が勤めている会社にも、仕事よりも家族との時間や記念日を優先する人が大勢います。
自分のドイツ人上司は当時40歳そこそこでしたが、ある時こんな事を言いました:
「今日は娘の誕生日だから、もう帰るわ」
そう言って、まだ午後4時前なのに『いそいそ』と帰り支度を始める上司。
「娘さんの誕生パーティーか、奥さんによろしくな」
仲の良い同僚からそのような声もかけてもらいながら、そのまま帰宅していったのです。
みなさん、コレどう思いますか?
日本ではまずあり得ないですよね?
少なくとも、自分が以前働いていた日系大手企業の営業部では絶対にありえない。
こんなこと、仮に日本の会社でやっていたら「何言ってんだ?」「まだ定時になってないだろ!」「お前仕事ないのか?」…とか言われそう。
それかもしくは「帰るなら半休を取れ!」などと容赦なく言われていたはず。
そもそも、日本では『娘の誕生日』が会社を早退する理由にならないでしょう。
そのような家庭のイベントは「職場に持ち込むな!」という雰囲気があります。理解されないだけでなく、そもそも周りから認められない。
「あいつ、『家族の誕生日だから帰ります』って言ったらしいぜ…」
日本だったらそんなウワサが社内で広まりそう。

日本の会社は仕事ふぁーすと
ドイツ人のような『自分ファースト』『家族ファースト』という行動は、日本では冷ややかな目で見られがち。
それほど、ドイツ人と日本人の仕事に対する姿勢や考え方は違うのです。
ドイツ人はいつでも『家族優先』そして『自分優先』
ドイツ人は、プライベートを理由にいくらでも仕事を放り出します。
働く人が『最適な判断』だと考えたら、仮にそれが私的な理由であっても周りの目を気にせず行動に移します。
「子供を迎えに行くから今日はもう帰る」
「明日は出張で早いからもう切り上げる」
そう言って、仕事の途中でもさっさと帰宅していくドイツ人。
会社勤めだろうが何だろうが、ドイツ人は家族ファーストで働きます。
そして同時に自分ファーストでもある。
仕事の結果さえ出ていれば、ドイツでは他人の働き方に対してとやかく言う人はいません。周りの目を気にして働く人もほとんどいない。
「あいつ今日もこんなに早く帰るのか…?」
「みんな残業してるのに…!」
「職場の和を乱してる!」
4年以上ドイツで働きましたが、そう言って他人の足を引っ張ろうとするような人はいません。

日本で働いてた時はいた
働く環境や社風に依る部分も大きいですが、日本人とドイツ人の仕事に対するマインドセットは根本的に違います。
ドイツは基本的に個人主義であり会社員は各々割りふられた仕事だけに専念している。他人がどうこうではありません。仕事で求められるのは成果だけなので、その過程となる『働き方』は基本的に自由です。
要するに、与えられた仕事さえキッチリこなしていれば、ドイツでは誰もその働き方に対しては文句を言わないのです。
個人主義、そして成果主義の欧米諸国の職場では社員一人一人のアウトプットが重視される。
そして、周りを気にして足並みを揃えようとする集団意識や同調圧力がありません。
上司の顔色を伺いながら付き合い残業などをする人も…もちろんいない。
ドイツ人は仕事を早く終わらせてプライベートを充実させる事に全力を注ぎます。その結果ほぼ全社員が『最短で結果を出す働き方』に特化するので、非効率なムダ残業やムダ会議は却下されます。残業をするのは個人の勝手ですが、連日残業をする人は「仕事ができない人」とのレッテルを貼られます。
ドイツ人は、家族のためそして余暇のために仕事を調整します。
会社では自分の仕事だけに集中して、それが終わればさっさと帰宅。
上層部の人間を含め大多数が同じように働くので、部下に残業を期待しないどころか上司自ら率先して早く帰ります。

残業するかどうかは自己判断
上司がお手本となるように極力残業をしないことで、調和の取れた職場になります。
「お先! あんまり長くやり過ぎるなよー」
そう言い残して、17時前に足早に帰宅する管理職がドイツには大勢いる。
これが日本とは大きく異なる部分で、日本で働いていた当時は自分を含めみんな延々と残業していました。
そして、誰かが1人だけ早く帰ろうとすると「え…」「何コイツ…」という空気になり職場で浮いてしまう。
仕事を頑張って早く終えて定時の17時半に帰っていたら…。
「お前最近帰るの早いな。ヒマなの?」
上司にそう言われて、仕事を増やされましたことがありました。

軽いトラウマ
「残業をするのは当たり前!」「みんな残業しているのに1人だけ帰るのはダメ!」そのような思考停止の職場で、4年半ほど奮闘しました。
繰り返しになりますが、ドイツでは長時間労働やサービス残業を発生させない取り組みが行われています。
ドイツでは…
- 正社員の勤務時間は週37,5~40時間と定められている
- 1日の基準労働時間は最大でも10時間まで (残業は1日2時間まで)
- 労働者が残業した分は、6ヶ月以内に必ず余暇にして還元する
これらが、労働者の権利として定められています。
そして実際に働いてみた結果、実際に徹底されていました。
家族でゆったり団欒したり、友人と飲みに行ったり、映画を観たり。
仕事以外にやりたい事がいくらでもあるドイツ人は、オフィスで過ごす時間を必要最低限に抑えます。
ドイツ人にとって残業は最終手段!

ここで一つだけ断っておきたいのですが…。
ドイツ人も残業をします。
そもそも『残業を全くしない』という働き方は、欧米諸国にもなかなか存在しません。
個人や組織の利益のために仕事に従事しているうちは必ず『他者』と『他社』が関わってきます。そのため、どのような職種や業種でも毎日必ず時間内に仕事を終わらせる事は不可能です。
どこかのタイミングで時間外労働が発生します。
そのような単純な観点からドイツ人も残業をするという事です。
重要な取引先から「コレ、どうしても今日中にお願い!」などと言われれば、既存のビジネスを失わないためにもなんとか頑張って対応をします。
そんな時に「いや、今日はもう帰りますから」と言って無下(むげ)にするドイツ人は…あまりいない。

たまにいる
ワークライフバランスを重んじるドイツ人であっても自分のクビは大事なので、時と場合によっては適宜に残業をするのです。
しかし…。
それでも、ドイツには日本の残業事情とは決定的に異なる部分があります。
それは、ドイツでは残業は最終手段だということ。
本当に必要な時にだけ、ドイツ人は残業します。
- 企業や個人に損失を与える可能性がある場合の対応
- 短納期の重要な依頼
- キャリアのために人一倍頑張って結果を残す
そのようなシチュエーションでドイツ人は残業するのです。
逆に言うと、よほどの理由がなければドイツ人は残業をしない。1日くらい余裕で取引先を待たせます。

ガチで待たせる
そんなドイツに比べて、日本には残業をする理由とシチュエーションがいくらでもある。
これが決定的な違いです。
日本で働いていた当時、遅くまで残業していたら上機嫌でニコニコしながら上司が言いました:
「おっ! こんな時間まで働いてるのかー感心感心!」
………。
日本では、残業している人が『頑張っている人』と勘違いされがち。
職場ぐるみで残業が美化されてしまい、時間外労働が横行するのです。
残業をうまくコントロールするドイツ人
日本には先輩後輩の上下関係もあり、「上の人が帰らないから」という意味不明な理由で残業をする人もいます。
仕事はとっくに終わっているはずに、上司が帰るまでオフィスに残る部下たち。

まさにムダ残業
日本の職場には、あえて『苦労している姿勢』を見せて高評価を得ようとする人もいます。
オッサン世代の古い社員はそのほとんどが根性論でたくさん残業をしてきた人達です。そんな古い思考と体制のまま、上層部の評価を気にしながらこれまで通り延々と残業します。
日本企業に勤めていた当時、終業時間の間際に「これもやっておいて」と平然と仕事をふって来る上司がいましたが、どうせ自分が夜遅くまで残業するものだから悪びれる様子など一切ありません。
そのような職場環境は、社員のプライベートにも影響を及ぼします。会社のストレスを家庭に持ち込んでしまう人も大勢いる。
(World happiness report 2020,2020年3月時点)
その反面、ドイツでは残業した分だけ『別日に早上がり』する事ができるので残業は実質ゼロ。
慢性的な残業はなく、法規制やコンプライアンスの観点からも会社や部署は基本的に残業が発生しないように運営されています。

すごく助かる
ドイツ人がやるのは不可避な残業だけ。しかし、日本では残業が不可避。
ドイツ人は、社員一人一人が仕事の進捗に合わせて残業をコントロールする。
しかし…。
日本の社会人の多くは残業にコントロールされている。

残業ありきの職場がたくさん
社員が自分で働き方を決めるドイツの方が、自分に断然向いていました。
ドイツ人が残業をする時

ドイツ人の中には「キャリア重視でバリバリ働く!」という人もいます。
ドイツの職場は成果主義の世界なので『他人より成果を出して結果を残す』という事でしか昇進ができません。
要するに、高給取りになりたければ他人よりも人一倍働く必要があるわけです。
そして、そのような道を歩む人には残業がついてまわります。
ドイツ人が残業をしない仕事量というのは、契約上『こなせて当然』というの仕事の範囲内です。ドイツには年功序列のシステムが無いので、出世したい人はこぞって結果を残す必要がある。上層部から高評価を得るためには、人一倍働くこと(=残業すること)が必須なのです。
偉くなって社会的地位をゲットしたり、たんまりお金を稼ぎたい人たち。そんなドイツ人は残業をして必要以上の仕事をするという事になります。
しかし…。
ここでも日本とは決定的に違う部分が一つある。
キャリア重視のドイツ人もエンドレスな残業は絶対にしないのです。
その理由は、ドイツ人の根本的な人生観が関係しています。
そうです。

家族ファースト!
そして、自分ファーストの考え方。
バリバリ残業をして、血眼(ちまなこ)になって出世を目論むドイツ人でも「家庭の幸せ」や「自分の趣味の時間」までは犠牲にはしないのです。
管理職や役員など地位が高い人でも、家族との記念日のために大事な打ち合わせや出張の日程を調整する事だってあります。

そういうのを実際に見た
…と、これまで長々と語ってきましたが結論としてドイツ人は基本的に残業をしないと言えます。
仕方なく残業をする場合でも、その残業時間は必要最低限です。
仕事以外に、いくらでもやりたい事があるドイツ人。職場の様子や上司の顔色を伺うこと無く、帰りたい人からさっさと帰る。
それとは正反対に職場ぐるみで長時間労働のループを繰り返すのが、自分も経験した日本の会社員の姿。
ドイツ人も残業するけど日本の働き方は絶対にしない。
ドイツの働き方がストレスフリーなのは、言うまでもありません。
いかがだったでしょうか?
日本とドイツで実際にサラリーマンをしてみて、本当に色々と思うところがありました。
日本で辛い時期を過ごしたからこそ見えた『違い』は大きく、余暇がしっかり確保できるドイツの働き方でストレスが減りました。
仕事はほどほどに。
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