コダモンです。(@kodamon)
日本の大手企業を辞めて、ドイツで転職しました。
ドイツの会社の職場環境。そして、ドイツ人の残業との向き合い方。
日本とドイツの両方でサラリーマンをやってみたハーフが語ります。
ストレスまみれだった日本の会社員時代

日本で働いていた時はストレスまみれのサラリーマン生活を送っていました。
休日にも仕事をして、残業は当たり前。
コロナ禍を通して日本の働き方も変わったのかもしれませんが、その当時は忙しい毎日の繰り返しで会社に行くのが憂鬱でした。
職場の人間関係はとにかく面倒で、非効率なことばかり。
ストレスを抱えながら働いて心身をたくさん消耗しました。
- 上司が帰るまで続く残業
- 仕事の延長でしかない会社の飲み会
- 休日に飛んでくる上司からのメール
会社の人間は申し合わせたように長時間労働を繰り返していました。
「出る杭は打たれる」とはよく言ったもので、みんな周りの目を気にして働いている。
仕事がない人もダラダラ残業して無駄な時間を過ごしていました。
日系の大手企業に勤めていた4年半は辛いのを我慢して毎日耐え忍ぶという日々の繰り返しでした。
上司を含めみんな延々と残業していたし、長時間労働は当たり前。
誰かが1人だけ早く帰ろうとすると「え…」「何コイツ…」という空気になる。
仕事を頑張って早く終えて定時に帰っていたら…。
「お前最近帰るの早いな。ヒマなの?」
そう言われて急に上司に仕事を増やされましたこともありました。

トラウマ
ドイツハーフは、結局最後まで『日本の社会人』になりきれなかったのでしょう。
やりがいを感じる余裕もないほど、毎日ヘロヘロ。
自分が経験した日本の会社員生活はストレスまみれという表現がピッタリでした。

そんで辞めた
ドイツ企業に転職したらストレスが減った!?
日本でストレスまみれだったサラリーマン生活が、ドイツで転職したら激変。
結論から言うと、ドイツで働いてみたら人生が楽しくなりました。
今はドイツ企業で気ままに会社員をしています。
転職先は、日本で働いていた時と同じ分野・業界で、同じ営業職です。
それなのに、仕事のストレスが日本より断然少ない。
ドイツでは、毎朝8時前後に出社して夕方5時くらいに退社する事が多いです。

毎日ほぼ定時帰宅
基本的に激務と言われる営業職。
4年半ほど勤めていた日系企業で法人営業していた時は、定時に帰宅した事なんてほとんど無かったです。
その反面、現在勤めているドイツ企業では夕方6時以降オフィスに残っている事の方が逆に珍しい。
業種や職種は変わっていないのに、『ドイツで働いている』というだけで仕事のストレスが格段に減ったのです。
同じ仕事なのに、国が変わるだけでこうも違う。

なんでこんなに違うの?
もちろん、国が変われば文化や習慣も大きく変わるため一概には言えません。
しかし…。
それらを踏まえても、違いが大きすぎる。
ドイツで実際に働いてみて、日本で経験した社会人のヤバさを再認識したのです。
ドイツ人の働き方とは

まず、ドイツ人について。
ヨーロッパ有数の経済大国でもあるドイツですが、ドイツ人の多くは家族ファーストで働いています。

ファミリー優先
そして同時に、自分ファーストでもある。
そんなドイツ人は、仕事の場にも惜しみなく『家庭事情』や『自己都合』を持ち込んで来ます。
今勤めている会社にも、仕事よりも家族との時間や記念日を優先する人が大勢いる。
ドイツ人上司が、ある時こんな事を言いました:
「今日は娘の誕生日だから、もう帰るわ」
そう言って、まだ午後4時なのにいそいそと帰り支度を始める上司。
「娘さんの誕生パーティーか、奥さんによろしくな」
仲の良い同僚からそのような声もかけられながら、そのまま帰宅していったのです。
みなさん、コレどう思いますか?
日本ではまずあり得ないですよね?
少なくとも、わたくしコダモンが以前働いていた日系大手企業の営業部では、絶対にありえない。
こんなこと、仮に日本の会社でやっていたら…。
「何言ってんだ?」
「まだ定時前だろ!」
「お前仕事ないのか?」
…とか言われそう。
それかもしくは「帰るなら半休を取れ!」などと、容赦なく言われるはず。
そもそも、日本では『娘の誕生日』が会社を早退する理由にならないでしょう。
そのような家庭のイベントは「職場に持ち込むな!」という雰囲気が日本の職場にはあります。
「あいつ、『家族の誕生日だから帰ります』って言ったらしいぜ…」
そんなウワサが社内で広まりそう。

日本は仕事ファースト
ドイツ人のような『自分ファースト』『家族ファースト』という行動は、日本では冷ややかな目で見られがち。
それほど、ドイツ人と日本人の仕事と向き合う姿勢や働く文化は違うのです。
ドイツ人はいつでも家族と自分優先
ドイツ人はプライベートを理由にいくらでも仕事を放り出します。
当の本人が『最適解』だと判断したら、仮にそれが私的な理由であっても周りの目を気にせず行動に移します。
「子供を迎えに行くから今日はもう帰る」
「明日は出張で早いからもう切り上げる」
そう言って、仕事の途中でもさっさと帰宅していくドイツ人。
仕事の結果さえ出ていれば、ドイツでは他人の働き方に対してとやかく言う人はいません。
周りの目を気にして働く人もほとんどいない。
「あいつ今日もこんなに早く帰るのか…?」
「みんな残業してるのに…!」
「職場の和を乱してる!」
そんな事を言って他人の足を引っ張る人は、ドイツの会社にはほぼいません。

日本の会社にはいた
働く環境や社風に依る部分も大きいですが、仕事に対するマインドセットが根本的に異なるのです。
ドイツの働く現場は基本的に個人主義であり、社員は各々が入社時に合意・契約した業務内容だけに専念します。目的の達成のために組織内で協働することも当然ありますが、他人がどうこうではありません。求められるものは成果だけなので、その過程である『働き方』は基本的に自由です。
要するに、与えられた仕事さえキッチリこなしていれば誰もその働き方に対しては文句を言わないのです。
欧米諸国の職場では社員一人一人のアウトプットが重視される。
そのため、周りを気にして足並みを揃えようとする集団意識や同調圧力がありません。
上司の顔色を伺いながら『付き合い残業』などをする人も、当然いない。
ドイツ人は仕事を早く終わらせてプライベートの充実に全力を注ぐため、社員全員が自ずと『最短で結果を出す働き方』に特化して働くようになります。そのため、非効率なムダ残業やムダ会議をする人はほぼ皆無。残業をする・しないは個人の勝手ですが、連日残業をするような人は「仕事ができない人」のレッテルを貼られます。
ドイツ人は、家族のためそして余暇のために仕事を調整します。
会社では自分の仕事だけに集中して、それが終わればさっさと帰宅。
上司も、部下に残業を期待しないどころか上司達が自ら率先して早く帰ります。

残業する・しないは自己判断
上司がお手本となって極力残業をしないため、長時間労働が定着せず調和の取れた職場になります。
「お先! あんまり長くやり過ぎるなよー」
そう言い残して、足早に帰宅していくドイツ人の管理職。
労務コンプライアンスも厳しく、企業側は優秀な人材にそっぽを向かれないように徹底管理しています。
- 正社員の勤務時間は週37,5~40時間と定められている
- 1日の基準労働時間は最大でも10時間まで (残業は1日2時間まで)
- 労働者が残業した分は、6ヶ月以内に必ず余暇にして還元する
実際にドイツで働いてみた結果、これらは労働者の権利としてちゃんと徹底されていました。
家族でゆったり団欒したり、友人と飲みに行ったり、映画を観たり…。
仕事以外にやりたい事がいくらでもあるドイツ人は、オフィスで過ごす時間を必要最低限に抑えるのです。
ドイツ人にとって残業は最終手段!

一つだけ断っておきますが…。
ドイツ人も残業をします。
そもそも、オフィス勤務で『残業を全くしない』という働き方はいくら何でも無理でしょう。
個人や組織の利益のために仕事に従事しているうちは、必ず『他者』と『他社』が関わってきます。
そのため、毎日必ず時間内に仕事を終わらせる事はほぼ不可能です。
そのような単純な観点からドイツ人も残業をする!という事です。
取引先の重要な案件で「コレ、どうしても今日中にお願い!」などと言われれば、既存のビジネスを失わないためにも頑張って対応します。
そんな時に「いや、今日はもう帰りますから」と言って無下(むげ)にするドイツ人は…あまりいない。

たまにいる
ワークライフバランスを重視するドイツ人でも自分のクビは大事なので、時と場合によっては適宜に残業をします。
しかし…。
それでも、ドイツには日本の残業事情とは決定的に異なる部分があります。
それは、ドイツでは残業は最終手段だということ。
本当に必要な時にだけ、ドイツ人は残業します。
- 企業や個人に損失を与える可能性がある場合の対応
- 思いがけず短納期の重要な依頼が入った時
- キャリアのために人一倍頑張って結果を残したい人
そのようなシチュエーションで、時と場合によってドイツ人は残業をするのです。
逆に言うと、よほどの理由がなければドイツ人は残業をしない。
1日くらい余裕で取引先を待たせます。

ガチで待たせる
そんなドイツに比べて、日本には残業をする理由とシチュエーションがいくらでもある。
これが決定的な違いです。
日本で働いていた当時、遅くまで残業していたら上司が上機嫌でニコニコしながら話しかけてきました:
「おっ!こんな時間まで働いてるのかー感心感心!」

……。
日本では、残業している人が『頑張っている人』と勘違いされがち。
職場ぐるみで残業が美化されてしまい、時間外労働が横行するのです。
残業をうまくコントロールするドイツ人
日本には先輩後輩の上下関係もあり、「上の人が帰らないから」という意味不明な理由で残業をする人もいます。
仕事はとっくに終わっているはずに、上司が帰るまでオフィスに残る部下たち。

まさにムダ残業
日本の職場には、あえて『苦労している姿勢』を見せて高評価を得ようとする人もいます。
オッサン世代の古い社員はそのほとんどが根性論でたくさん残業をしてきた人達です。
老害なんて言葉も聞きますが、まさにソレ。
日本企業に勤めていた当時、終業時間の間際に「これもやっておいて」と平然と仕事をふって来るオッサン上司がいました。どうせ自分も周囲の人間もみんな残業するものだから、悪びれる様子など一切なし。
そのようなダメダメな職場環境は、社員のプライベートにも影響を及ぼします。
会社のストレスを家庭に持ち込んでしまう人は大勢いるでしょう。
(World happiness report 2020,2020年3月時点)
ドイツでは残業した分だけ別日に早上がりする事ができるので、実質残業はゼロ。
法規制やコンプライアンスの観点からも、会社や部署は基本的に残業が発生しないように運営されます。

働きやすい環境
ドイツ人がやるのは、不可避な残業だけ。
しかし、日本企業では残業が不可避。
仕事量を自分で調整して、毎日ほぼ定時に帰宅できるドイツ。
同じサラリーマンなら…断然ドイツの方が働きやすいです。
ドイツ人が残業をする時

ドイツ人の中には「キャリア重視でバリバリ働く!」という人もいます。
ドイツの職場は成果主義なので、『他人より成果を出して結果を残す』という事でしか昇進ができません。
要するに、高給取りになりたければ他人よりも人一倍働く必要があるわけです。
そして、そのような道を歩む人には残業がついてまわります。
ドイツ人が残業をしない仕事量というのは、契約上『こなせて当然』という範囲の職務です。ドイツ企業には年功序列のシステムが無いので、出世をしたい人は必ず結果を残す必要がある。上層部から高評価を得るためには人一倍働くこと、残業することが必須なのです。
偉くなって社会的地位をゲットしたり、たんまりお金を稼ぎたい人たち。そんなドイツ人は残業をしてライバル以上の仕事をするという事になります。
しかし…。
ここでも日本とは決定的に違う部分が一つある。
キャリア重視のドイツ人ですらも、エンドレスな残業は絶対にしないのです。
その背景には、ドイツ人の根本的な人生観が関係しています。
そうです。

家族ファースト!
そして、自分ファーストの考え方。
血眼(ちまなこ)になって出世を目論むドイツ人でさえも家庭や趣味の時間までは犠牲にはしません。
残業をする日もあるけれど、それを常態化させることはない。
ドイツ人が残業と向き合う姿勢は、日本のそれとは異なるのです。
いかがだったでしょうか?
これまで長々と語ってきましたが、結論としてドイツ人は基本的に残業をしないと言えます。
仕方なく残業をする場合でも、その残業時間は必要最低限。
仕事以外にいくらでもやりたい事があるドイツ人。
職場の様子や上司の顔色を伺うこと無く、帰りたい人からさっさと帰る。
それとは逆に、残業を美化して職場ぐるみで長時間労働を繰り返す多くの日本の会社員たち。
ドイツ人も残業するけど日本の働き方は絶対にしない。
ドイツの働き方がストレスフリーなのは、言うまでもありません。
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