コダモンです。(@kodamon)
この記事を書いている時点ではコロナ禍はまだまだ収束する気配はなく、たくさんの人の日常生活に影響を及ぼしています。
そんな中、仕事に関して言えば昨年からテレワークが取り沙汰されるようになりました。
コダモンはとあるドイツ企業に勤めていますが、基本的に週に1〜2回ほどしか出社していません。
ほぼ在宅勤務
コロナ禍を通して日本のテレワーク事情はどうなったのでしょうか?
コロナ禍で働き方は変わったか?
コロナ禍を通して世の中の働き方は確実に変わりました。
欧州ではロックダウンなどの影響から在宅勤務が当たり前となり、その傾向は感染者数が減少した今も継続しています。日本にも、緊急事態宣言などを通してテレワークが定着した会社が少なからずあります。
コダモンが勤務するドイツ企業は、もっぱら必要最低限の人数しか出社させません。
パンデミック以前は想像すらできませんでしたが…在宅勤務が非常に身近なものになりました。
ちなみにですが、自分が勤めるドイツ企業は全社員が週1回在宅勤務できる制度を正式に導入しました。将来的にコロナ禍が過ぎ去った後も、オフィス勤務者は将来的に週1回家から働く権利が与えられるという事です。
いざ実際にリモートワークをさせてみたら、社員の生産性が大きく落ちる事もないし、リモート会議での仕事も問題がない。最初は疑心暗鬼だった経営層も、社員が自宅から働くという選択肢が『アリ』だという事に気付きました。
「リモートで対応が悪くなった!」「対面での会議が必要だ!」などと文句を言う顧客もほとんどなく、フタを開けてみれば在宅勤務でも仕事はちゃんとまわったのです。
コダモンはいわゆる営業ですが、もう1年以上も在宅勤務がデフォルトです。
ほとんど出社してない
そのような自分のケースは、見る人によっては”恵まれている”らしい。
何の気兼ねもなく在宅勤務ができる環境に対して、日本では「羨ましい!」という声すら聞きます。
『職場』がストレス要因になりがちな日本
日本で働いてみて強く感じたのは、本音を言えば誰も出社したくないということ。
今現在は感染対策の面から毎日の通勤に不安を感じる人も多いと想像しますが、それとは別の基本的な働き方の部分に『負の要因』があります。
「できれば会社に行きたくない…」
「職場の人間と顔を合わせたくない…」
そんな声を実際によく耳にするし、毎日の出勤を憂鬱に感じている人は大勢いる。
早朝のラッシュ時に見かけるサラリーマンやOLのみなさんの顔は、お世辞にも清々しいとは言えません。
かくいうコダモンも日系の大手企業に4年半ほど勤めていた当時、会社に行くのが嫌で嫌で仕方がない時期がありました。その時の自分も、周りから見ればゾンビのような顔で通勤していたでしょう。
そんで辞めた
職場の人間関係などは特に複雑になりがちで、先輩後輩の上下関係や暗黙のルールが多い日本の職場はストレスが大きいです。
さらに首都圏であれば通勤時の満員電車が苦痛であるケースもあります。サービス残業や付き合い残業で長時間労働になりがちな職場も多い。根性論や精神論を振りかざすだけで責任は一切取らないダメ上司だっています。
そのように、日本の職場には本来の業務とは関係の無い『仕事以外のストレス』がたくさん存在するのです。
(厚生労働省,労働時間やメンタルヘルス対策等の状況,2021年6月時点)
半分以上の日本の社会人が、仕事や職場において常に強い不安やストレスを感じている。
労働者によっては在宅勤務ができない職種もありますが、そもそも会社や職場に不満を抱えている人が大半なので結果としてリモートワークが好まれるのです。
「家でも仕事できるなら、できれば会社に行きたくない…」
そのように考える人が多いわけです。
職場において強い不安やストレスを感じてる人は、出社する事自体がストレスなので当然家で仕事をしたくなる。当たり前のことですね。
「苦手な上司に会いたくない…」
「職場にいるだけで息苦しい…」
そのような人達にとって、コロナ禍で注目されるようになった在宅勤務という選択肢は非常に魅力的なのです。
在宅勤務が好まれる理由
コロナ禍以前は、在宅勤務という選択肢は限られた人だけのものでした。
例えばドイツでは、同じ職場で同じ仕事をしている人達の間でも、入社時の交渉次第で『在宅勤務の選択肢があるかないか』がハッキリわかれます。
上手に交渉した人の特権
それでも「なぜあいつだけ在宅なんだ!」「ズルイ!」などの不満の声が出ない理由は欧米が契約社会だからなのですが、それが日本となると事情が変わります。
日本では、そもそもテレワークやリモートワークの存在自体があまり認知されていませんでした。
(厚生労働省,働き方改革実行計画,2021年6月時点)
これまでまったく馴染みのなかったリモートワークやテレワークという新しい形の働き方が、今回のコロナ禍で比較的広く導入された。
これまではインフラの不備や就業規則などがネックとなり在宅勤務を「やりたくてもできない」「会社が承認しない」という人が大半だったけれど、それが急速に変わり在宅勤務が身近なものになったのです。
平時から「会社に行きたくない…」「会社の人間に会いたくない…」と職場に対して強い不安やストレスを感じていた労働者にとって、自宅で業務を行う形はまさに”渡りに船”だったことでしょう。
自宅でも仕事ができるなら…できれば会社に行きたく無い。
それが多くの労働者の本音なのです。
2020年に最初の緊急事態宣言が出された当時、テレワークの継続を望む声が多かったのにはそういった背景もあります。
(日本労働組合総連合会,テレワークに関する調査2020,2021年6月時点)
在宅勤務という選択肢が好まれる背景には、多くの労働者がそもそも会社に行きたく無いということがあるのです。
『テレワーク格差』とは?
そんな中、こんなタイトルの記事を見かけました:
コロナ禍で広がるテレワーク格差 在宅勤務を求めた非正規、雇い止めも 「まさに階級社会」と訴え
(東京新聞, TOKYO web, 2021年6月時点)
どうやら、正規社員に対してはテレワークを認めるのに非正規労働者にはテレワークが認められないという事例が多数あるらしい。
記事の中では、このような格差が『命の格差』になりかねないとして警笛を鳴らしています。
あってはならないこと
さらに、内閣府の調査によると所得の少ない人ほどテレワークする割合が低いというデータがあります。
(内閣府政策統括官,新型コロナウィルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査,2021年6月時点)
なんと、本人の年収別でテレワークの実施率に大きな差が出ているのです。
職業や仕事柄「テレワークができない」という理由ならまだしも、雇用形態別に格差が生まれるようなことは…本来あってはいけないこと。
このような『テレワーク格差』はれっきとした差別だし、納得がいかない労働者は大勢いると想像します。
残念ながら、日本における昨今の在宅勤務の選択肢というのはあくまでコロナ対策としてのテレワークにとどまり、多くの企業においては『一過性のもの』という位置付けです。
その反面、日本では労働者の8割以上が「継続してテレワークをしたい」と思っている。通勤をしないで「自宅から働きたい」と望む声はたくさん存在するのです。
それなのに…。
「コミュニケーションが希薄になる!」
「仕事ぶりが見えない!」
「帰属意識が薄れる!」
…などなど、働く側にとってはどうでもいい理由で社員を無理やり出勤させたがる、日本の会社。
企業側が本当の意味での働き方改革を進めない限り、「会社に行かないと仕事ができない!」「対面での打ち合わせはマスト!」などの思考停止の誤った認識は今後も無くならない。
そして、『テレワーク格差』も無くならないのです。
日本の職場はアフターコロナでどう変わる?
日本の職場は、新型コロナウィルス感染症の脅威が過ぎ去った後どう変わるのでしょうか?
結論から言うと、今後も大きく変わることはありません。
古い慣行を変えることを良しとしないお国柄もあり、残念ながら日本では欧米諸国のように在宅勤務が持続的に広く実施されることはないでしょう。
具体的には、次のような要因がリモートワークの妨げになります:
- 対面での社内の打ち合わせや意思決定
- 電子化・ペーパーレス化されない書類のやり取り
- 社内システムへのリモートアクセス
- 社内外の押印文化
- 仕事の進捗状況の確認や共有
これらの要因の中には、昔ながらの日本の企業文化や習慣に起因しているという致命的なものもあります。
ハンコ文化などはその典型で、日系企業ではコロナ禍において『書類にハンコを押すためだけに出社』といった悪いジョークのような事が実際に行われていました。
笑えないジョーク
これらの根本的な部分にテコ入れが入らない限り日本の企業における働き方はいつまでたっても変わらないし、テレワークやリモートワークなどが今後持続的に導入されることもないでしょう。
テレワークによるメリットは一目瞭然で、8割以上の日本の労働者が「コロナ後も継続したい!」と望むのも頷けます:
- 職場の人間関係のストレスが軽減される
- 通勤が不要になる
- 休憩や隙間時間を有効活用できる
- 各自の裁量とタイミングで息抜きができる
労働者の半分以上が、職場に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている日本。
職場における『負の要因』が、会社員が在宅勤務をしたがる理由に直結しているのです。
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