コダモンです。(@kodamon)
日本の職場では先輩後輩の関係が重要視されます。
「同年代でも在籍期間が長い方が先輩?」
「年上でも中途入社だったら社歴が長い方が先輩?」
そのような事を気にしながら働く必要がある。

正直めんどう
欧米諸国の企業にそのような風潮はなく、基本的には上司・部下の役職関係による上下しかありません。
まだ『社歴』とか『どちらが先輩か』とか気にして働いてるの?
年功序列の日本企業

日本企業の多くは年功序列の制度で成り立っています。
新卒で入社した会社にずーっと勤めて、いつか役職定年を迎えるまでじりじりと昇給と昇進をくり返す。終身雇用を前提とした制度で、ざっくり言えば会社が「倒産しなければ定年まで面倒見るよ!」と社員に保証する制度。
年功序列は一生同じ会社で働くという終身雇用の制度とセットで考える必要があります。
そのため、仮に人間関係の摩擦や長時間労働などが苦痛であっても『とにかく耐える』という働き方がデフォルトになりがちです。

若いうちは特に大変
なにはともあれ、年功序列制度の仕組みの根幹には次のような考えがあります:
要するに、社歴が長い人や年齢が高い人が『重宝される』ということ。
確かに、会社の事を知り尽くしたベテラン社員がリーダシップを発揮して上手に職場をまわしてくれるのであれば…誰も文句はないでしょう。

デキる人なら良い
仮に上司でなくても、社歴が長い先輩社員が頼りになる人であれば、その人に対して自然と尊敬の念も生まれます。
でも…。
現実はちょっと違う。
勤続年数が長いだけで会社のお荷物になってしまう人もいますし、社歴が長いというだけで「自分は偉い」と勘違して横柄な態度を取る人もいます。
「どっちが先輩?」「社歴が長いから敬語使うべき?」とか気にして働くのは勝手だけれど、それは組織における上下関係とは別物。

年上が偉いわけじゃない
「先輩・後輩は日本の文化だ!」
「先輩を敬うのは当たり前だ!」
そう言う人もいるけど、じゃあ年上の先輩を敬った(うやまった)ところで業務遂行上誰に何の恩恵があるの?
「どちらが先輩か」なんて気にしながら働いてもメリットなんか一つもないと感じるのは自分だけでしょうか。
『社歴』や『入社年度』を気にする日本の社会人
日本人はそもそも年齢を非常に気にします。
出会って数分でも「ちなみに今おいくつですかー?」などとデリケートな質問を急に放り込んで来る人もいる。

海外だったら超失礼
日本には『目上の人には敬語を使う』などの礼儀やマナーがあるので、相手に失礼のないように振る舞う必要がある。そのため、あくまで確認のために相手に年齢を聞く場合があります。
また、日本人は義務教育の過程ですでに先輩・後輩の意識を学校で植え付けられるので、大人になっても「どちらが先輩?」という事を気にする人が多いのも事実。

その気持ちはわかる
国民性もあるだろうし、相手によっては上下関係に厳しい人もいるので、むやみに地雷を踏まないためにも年齢やら社歴やらを確認したくなるわけです。
まぁ、それはそれで別にいいのだけれど…。
これには問題もあります。
人によっては、相手が年下だとわかった途端に露骨に態度や言葉遣いを変える人がいる。
社歴や入社年度でマウントを取ろうとする人がいるのです。

迷惑なやつ
途中まで敬語で話していたのに、相手の年齢を知った途端に「えっ!お前年下だったの!?」と言ってコロっと態度を変える人とか。
職場では同じ平社員同士なのに、『年齢が上』『社歴が上』というだけで上から目線で態度がデカイ人とか。
いやいや…。
どっちが先輩かなんてどうだっていいじゃない。
そんな事をいちいち細かく気にして働いても、余計なストレスが増えるだけ。
職場において『指導する側』と『される側』といった師弟関係が仮にあったとしても、それはあくまで仕事上の関係なわけで。慕ってもいない先輩社員に偉そうにされても困ります。
社会人になっても年齢や社歴でマウントを取るのは、正直ダサいです。
パワハラまがいの上下関係は誰も得をしない

ちなみに、海外企業では年下上司などは普通にいます。
社歴10数年のベテラン社員が、ぽっと出の若造の部下になる事もある。

マジである
現在ドイツ国内のドイツ企業に勤めていますが、30代で既に部長クラスのポジションに就いている優秀なドイツ人がいます。
当然、その彼の下には何人もの年上の部下がいるわけです。
そういった職場環境は欧米諸国では比較的当たり前。実力主義の結果『本当にデキる人』のみが上に行ける仕組みになっています。
国が変われば文化と習慣も変わるため一概には言えませんが、欧米諸国の企業風土の特徴の一つとして『フラットな人間関係』があります。日本の会社では何かと年齢やキャリアで上下関係を決めようとしますが、ドイツにそのような風潮はありません。上司を下の名前で呼ぶケースもあるし、仲が良ければお互いタメ口で会話をします。
日本と海外を比較しても仕方ないけれど、日本とドイツで実際にサラリーマンをしてみた自分にとってはドイツの方が人間関係がサッパリしていて断然働きやすいです。
仮に相手の役職が上だったら敬語を使えばいいし、それ以外はフラットな関係性でいいんじゃないの?
「俺の方が年上だ!」
「俺の方が入社年度が先だ!」
そうやって息巻く人が日本の会社には大勢いるけれど、別にその人が偉いわけじゃあない。

上司でもない
「年上だから」「先輩だから」「社歴が長いから」そのような理由で傲慢な態度を取る社員は周りから尊敬されないし、部署の中でめんどうな人のレッテルを(本人の知らない所で)貼られるでしょう。
ほとんどの日本企業では、一昔前までパワハラまがいの体育会系組織が当たり前でした。そして、その風潮はいまだに多くの会社に残っている。
(厚生労働省,職場のパワーハラスメントに関する実態調査,2020年12月時点)
上司ではなく、「年齢が上」「社歴が長い」というだけで社会的地位が強いと勘違いしている社員はそのほとんどがパワハラ予備軍。
「先輩からの誘いは断らない!」
「先輩より早く帰らない!」
本来は仕事と関係の無いどうでもいい事ですら「従うのが当然!」という雰囲気があり、社内や職場で暗黙のルールになりがち。

めんどうなやつ
パワハラまがいの上下関係は、時代遅れもはなはだしいです。
『先輩後輩』はなくならない?
以前勤めていた都内の大手企業では、新入りがパシリや雑用を任されていました。
まさに体育会系のノリで、職場の人間関係もガッチガチの縦社会。
そのような会社に実際に勤めた経験があるわけですが、それも踏まえて、これまで10年以上にわたって日本とドイツでサラリーマンをしてみて思う事があります。
それは…。
『先輩後輩』は今後もなくならないという事。
日本の会社では、同じ部署の先輩社員が若手の指導者になる事も多く、平社員であっても自然と上下関係が生まれるように仕組み化されています。

入社順に決まる
そして、良くも悪くも日本は伝統を重んじる国であると同時に『変化』を嫌う傾向があります。
既存の組織体制や仕組みが大きく変わる事は好まれないので、効率や生産性は度外視で職場の慣行やルールが延々と受け継がれるのです。
その結果、時代遅れの体育会系の会社がいまだに存在するし、どの職場にも必ず一人や二人は社歴とか入社年度で態度を変える人がいる。

なかなか変わらない
そういった意味では、日本企業で働く場合に『先輩後輩』の関係性から完全に抜け出すことはほぼ不可能でしょう。
しかし…。
それはあくまでも礼儀やマナーといった観点からの『先輩後輩』に限った話。
年齢や社歴による人間関係の上下に対する意識は、今後の日本では薄れていくかもしれません。
年齢による人間関係の上下は無意味

昨今の日本では外国人労働者の受け入れをはじめ多様化による変化が徐々に浸透しつつあります。
柔軟な思考を持った若い世代やネット世代の人たちが、じわりじわりと新しい風を吹かせてい る。
「仕事が終わったら帰ります」
「休みたい時に休みます」
そのように、労働者の権利を真っ向からぶつけて職場の空気を読まない人も、最近ちらほら出てきています。

良い傾向
一昔前ならば、そのような社員は「生意気だ!」「勝手な事するな!」などと上司や先輩社員に一括されていたでしょう。
「先輩がまだ働いてるんだから残業しろ!」
「先輩が休まないのに休むやつがいるか!」
このような反応は、今のご時世では完全にアウト。
先輩後輩の関係性は、おそらく今後もなくならない。けれど、年齢や社歴でマウントを取ってパワハラまがいの指導・強制をするという事に対しては、世間の風当たりがどんどん強くなっています。

新しい時代
日本企業にありがちな『付き合い残業』や『半ば強制の飲み会』は、先輩の命令は絶対!といった体育会系のノリのおかげで成立していました。
しかし、そのような攻撃的・威圧的な上下関係はもう受け入れられない。
将来の日本を担う若い世代の台頭により、『根性論』『精神論』で社会人生活を形成してきた古い働き方がいつか淘汰されるでしょう。
それにより、会社での先輩後輩や上下関係に対する意識も変わるかもしれない。
「同年代でも在籍期間が長い方が先輩?」
「年上でも中途入社だったら社歴が長い方が先輩?」
そのような無意味な議論も、必要なくなる時代がいつか来るかもしれない。

期待しよう
人間関係の上下に固執しても生産性は上がらないし、社員間のスムーズなコミュニケーションのために余計な壁は無い方がいい。
『社歴』とか『どちらが先輩か』とか気にして働いても、何の意味もないのです。
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