コダモンです。(@kodamon)
「残業は月200時間超も、カップ麺すら待てない…忙殺される厚労省職員」
(AERA dot,2020年4月時点)
これは、2018年6月に掲載されていた朝日新聞の記事のタイトルです。
そのおよそ1年後には、これまた別記事に次のような記載がありました:
国会対応を頻繁にする部署や、法令改正の担当部署に配属された場合、休日出勤を強いられたり、月の残業が150時間や200時間にのぼることもある。
(DIAMOND online,国家公務員の残業時間ランキング!,2020年4月時点)
いずれも『国家公務員』の残業事情をまとめた記事です。
残業時間は、ざっと月200時間。
200時間!?
過労死ラインといわれる月80時間の残業を、2倍以上超えています。
『働き方改革』が進んでいる…はずなのに、なかなか改善されないようです。
国家公務員とは?
冒頭の記事の抜粋は、いずれも国家公務員を対象にしたものです。
国の行政機関に勤める人達であり、なんとなくエリートなイメージがあります。
優秀な人が多い?
国家公務員は一般職と特別職などに別れているみたいですが、ザックリとまとめると『公の仕事』に関わる人達。
国家の運営に関連する業務が、国家公務員のお仕事。国の業務に従事する人たちです。
国家公務員と聞いてまずパッと思いつくのは、外交官や税務職員。
数が少ないところでは裁判官もそうですし、一般職と呼ばれる中では国会議員もそう。
某国会の某中継で居眠りしている某議員も同様です。
みんな国家公務員
下の図にわかりやすくまとまっています:
(人事院,国家公務員の紹介,2018年7月時点)
国家公務員は地方公務員より少なく、割合的には公務員の18%ほど。そんな国家公務員の人数はざっと58万人。
けっこう多い
国家の今と将来を支える、国家公務員たち。
そのような人達が働く職場の月の残業が200時間。これは相当ヤバいです。
国の業務は大事だけど…
「国会対応の課長補佐クラスは連日徹夜が続く」(金融庁)
「繁忙期の週あたり残業時間は40時間」(国土交通省)
これらは、冒頭の記事からの抜粋です。
国家公務員の中には「国会答弁の作成」などの責任の大きな業務とその準備に追われる人もいる。民間企業以上にキツイ環境で働く人も多いようです。
これが実態…?
国会議員が颯爽と国会のテレビ中継で答弁をしている背景には、職員たちの涙ぐましい努力があるのですね。
帰らずに職場で寝る人もいるのだとか。
ドイツハーフでもある自分は、以前日系の大手上場企業に勤めていました。そして、当時の上司の中には徹夜で残業するような人が実際にいた。
そのような『ストレス大国ニッポン』の異名をとる日本企業の働き方が、まさか国家公務員という「お国のための仕事」でも起きているとは…。
記事の中では、長時間労働が『現役官僚のコメント』として紹介されている。冒頭の記事のタイトル通り、月200時間の残業が実際に行われていたのだと想像します。
途方もない数字
そしてそこには、ワークライフバランスが無い。
国家公務員の多くは行政機関に勤める人であり、その仕事は国全体の運営を考える非常に重要なもの。国民の期待と資源をもって国家の将来を担うポジションにいる人達には『極度の過労』があってはいけないと思うのです。
「激務だけどそれなりの報酬がある」と言われるようですが、冒頭の記事のタイトルにもある『35歳で年収750万円』は、決してべらぼうに高いとも思わない。
いや、そもそも…。
月の残業200時間に見合う報酬など存在しないでしょう。
過労死レベルと言われる月80時間の残業を2倍以上も超える、とてつもない長時間労働。
『働く』っていうレベルじゃない
心身に支障をきたして再起不能になる可能性もある。いくらお金を積まれても、そんな働き方はダメ。絶対。
国家公務員に『ワークライフバランス』はない!?
冒頭の記事の中には、実際に国家公務員として働く人の声を掲載しています:
やや改善していこうとする動きは見られるが、ワークライフバランスに対する意識は民間企業に比べると乏しい。国会や政治家等への突発的な対応が求められることも多く、プライベートを犠牲にされることも多々あり。(企画・調査、男性)
国会業務や予算編成、税法改正など長時間労働が基本なのでワークライフバランスは諦めざるを得ないです。(事務職、男性)
(DIAMOND online,国家公務員の残業時間ランキング!,2020年4月時点)
(いずれも財務省職員の例、クチコミ)
国家公務員と一口に言っても、その種類は国のあらゆる仕事全般に関わるため一概には言えません。
それでも、国の行政機関である各省庁で働く人は、多かれ少なかれ、このような環境で働く人がいる。
ワークライフバランスの維持は難しいのが現状のようです。
国家公務員の『働き方』のこれから
国家公務員の残業上限は見直されました。
人事院の「公務員人事管理に関する報告の骨子」によると:
- 超過勤務命令の上限を人事院規則において原則1月45時間・1年360時間(他律的業務の比重の高い部署においては1月100時間・1年720時間等)と設定。大規模な災害への対応等真にやむを得ない場合には上限を超えることができることとし、事後的な検証を義務付け
- 1月100時間以上の超過勤務を行った職員等に対する医師による面接指導の実施等職員の健康確保措置を強化
- 各省各庁の長は、休暇の計画表の活用等により、一の年の年次休暇の日数が10日以上の職員が年5日以上の年次休暇を使用できるよう配慮
働き方改革と勤務環境の整備について、『長時間労働の是正』に取り組んでいるのです。
どんどんやって欲しい
2019年4月から民間の大企業に罰則付きの残業規制が導入されたのと同様に、国家公務員にも残業上限が定められました。
これらの規則を守れるかどうか…?
2019年10月時点では、人事院の調査により『中央省庁職員の約75%が原則の倍働いている』という事がわかりました。(東京国公だより,09-2号,2020年4月時点)
原則として設定した残業上限内で働いているのは、4人に1人しかいないという事です。
「国会対応などで業務量の調整が難しい」
そのような声がなくならないうちは、国家公務員には『長時間労働』がついて回るでしょう。
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