コダモンです。(@kodamon)
日本とドイツの両方でサラリーマンをやってみました。
ドイツの大学を卒業してから日系の大手企業に就職し、その後はドイツでドイツ企業に転職。
ゴリゴリの日本の職場を4年半ほど経験した後に、ドイツでのほほんと会社員をしています。
日本とドイツで実際にサラリーマンをやってみた結果、日本の働き方はストレスまみれでした。
そして、ドイツ人の働き方は日本のソレとは違います。
長時間労働が当たり前で年功序列のシステムがあり、職場のルールがとても細かい日本。先輩後輩の人間関係も複雑になりがちで日本人ですら苦労します。
そのような日本で、「ぜひ働いてみたい!」と言う外国人は…残念ながら少ない。
そしてそれが、深刻な問題に発展しつつあります。
なぜ外国人は日本に必要なのか?

こんな記事を見かけました:
「外国人が働きたい国」で日本が33カ国中32位――この国の“真に深刻な問題”とは
(ITmedia オンラインビジネス,2019年11月時点)
英金融大手のHSBCホールディングスが実施した「各国の駐在員が働きたい国ランキング」の調査で、なんと日本はほぼ最下位という結果だったのです。

これは…
『ストレス大国ニッポン』は海外でも有名ですが、まさか最下位だとは…。
このような記事を目にしても、「だから何?」みたいな反応をする人もいるかもしれません。
「外国人なんて別に必要なくね?」
「英語話せないから外国人来なくていい!」
などと言って、のんきに考える人。
そのような考えは、今後の日本社会では通用しないかもしれません。
(日本経済新聞,「外国人依存度、業種・都道府県ランキング」,2019年11月時点)
日本の外国人労働者は、もう既にかなりのスピードで増えている。
日本の将来はもはや外国人ナシでは成り立たないのです。
高度プロフェッショナルはまだしも、海外からの単純労働者を確保できなければ日本は深刻な問題に直面します。

外国人は必要不可欠
そのため、外国人が「日本で働きたくない!」と言うことは日本にとって想像以上に深刻な事態。
人手不足は、国内だけでは解消できなくなります。
(高齢化の現状「平成30年版高齢社会白書」 2019年11月時点)
日本人が「単純労働したくない!」「キツイ仕事したくない!」と言って請け負わない多くの仕事は、既に外国人労働者によって支えられています。
具体的には漁業、農業、林業や食料品製造など。
これらの業種は賃金上昇で人手不足が解決すような単純な話ではなく、日本国内だけでは『人が集まらない』という根本的な問題を抱えています。
介護・看護の現場も同様です。単純労働に従事してくれる外国人がいなければ、日本人だけでカバーする事は不可能です。

圧倒的な人手不足
外国人がいなければ、将来的にお金持ちの家庭以外はみんな自宅で親の介護を強いられるかもしれない。
同時に、農業などの第一次産業も人手不足が深刻なので外国人依存となります。
海外からの労働者がいないと、日本産の農作物が減って価格が高騰する。農家が外国人実習生や将来の担い手を海外から確保できないと、スーパーから野菜が消えるかもしれない。

マジで深刻
もっと身近なところでは、多くの飲食店やコンビニはもう完全に『外国人バイト依存』。都内を中心にコンビニの外国人労働者が増えているのは、もはや当たり前の光景ですね。
これらの対策として、日本は既に外国人の受け入れに関して積極的に動いています。在留資格が得られる業種を増やしたり、制度設定と法律改正を見直したり。外国人が日本で就労しやすい環境を着々と整えているのです。
でも…。
そもそも外国人が「日本で働きたくない」と言ったら意味が無い!
繰り返しになりますが、日本は「外国人が働きたい国」で33カ国中32位。

どうすんのコレ?
日本は、この事実と真剣に向き合わなければなりません。
外国人にとって日本は魅力的な就職先ではない!?

「日本は給料が高いから外国人来たがるでしょ?」
そういった意見をよく聞きますが、それは少々驕った(おごった)考えです。
日本は、確かについ数年前までは外国人にとって経済的にも魅力的な就職先でした。
しかし…。
今はもう目も当てられない状況になっています。
( OECD経済協力開発機構 各国正社員給与水準, 2019年11月時点)
要するに、日本の給与は決して高くないのです。

…知らなかった
世界的に見ても、日本の給料は全然高くない。
そうです…。
日本は外国人にとって必ずしも魅力的な就職先では無いのです。
さらにさらに。
お隣の中国も高齢化社会へと突入しますが、その総人口は日本の比ではありません。そのため、海外からの単純労働者は将来アジア規模で取り合いになります。
そんな中、給与がスバ抜けて高いわけでもない日本を外国人が選ぶとは限らない。

外国人必要なのに…
日本は、確かに『安全』や『サービス』の面では他のアジア諸国より断然優れているでしょう。そして、それが日本で働くメリットだとも言えます。
しかしながら、今回の調査結果を見るとそれすらもあまり意味をなしていないようです。
記事のランキングの調査対象である国々を見ると、「外国人が働きたい国」の15位に香港、16位にマレーシア、18位にインド、22位にタイ、24位にフィリピン、26位に中国がラインクインしている。

…え?
そうです。
日本は香港、マレーシア、インド、タイ、フィリピン、中国よりもランクが下!!
繰り返しになりますが、日本は『ほぼ最下位』。
アジア圏の諸外国は総じて日本より安全性が低く、日本と比べれば住みづらい環境だとも言えるでしょう。
それなのに、日本は働きたい国として33ヵ国中32位なのです。

…ちょっとコワイ
これは、裏を返せば外国人が『日本に住むこと』には魅力を感じていても、それをはるかに凌駕するほど「日本で働きたくない!」と思っている…と言えるでしょう。
外国人が日本で働きたくない理由
今回の調査結果で日本が低ランクに終わった原因は、単純に日本の働きづらさ。
日本はまだまだブラック企業が多くのさばり、長時間労働が当たり前の国です。

残業たっくさん
働き方改革の流れで「残業が減った!」「ウチはちゃんとノー残業デーを実施している!」などと聞きますが、その裏では持ち帰り残業などで相殺されているケースは多々あります。
また、日本人ですら苦労する日本の働き方は、外国人にとってなおさら順応が難しい。
- 長時間労働や年功序列の賃金体系
- 先輩後輩や『社歴』などの上下関係と人間関係
- 職場の同調圧力や暗黙のルール
自分も実際に経験しましたが、日本の職場には仕事とはまた別のストレス要因がたくさんあります。日本人でさえ疲弊するほど。
さらに、日本はまだまだ英語が浸透していないし、日本人は外国人に慣れていない。海外からの就業者にとっては日常生活のコミュニケーションが難しくなるのもマイナスです。
外国人労働者を「どのように受け入れるか?」…そんな議論を日本がするのは勝手なのですが、外国人が日本に来たがっている前提で話を進めるには注意が必要。
むしろ、外国人は日本を理想的な就職先とは考えていないかもしれません。
ワークライフバランスが無い日本

ドイツ企業で営業としてサラリーマンをしていますが、ドイツ人からすれば日本の働き方は異常です。
ドイツ人の同僚は「日本人て何であんなに残業するの?」「そんなに会社好きなの?」などと皮肉まじりに聞いてきます。

ふぅ…
日本のヤバい働き方は既に世界レベルで知れ渡っているのです。
会社や仕事に身を捧げるような働き方は海外勢から理解されません。
国が変われば文化や習慣も変わるため一概には言えませんが、少なくとも自分の経験から日本で働くのは容易じゃない!と断言できます。
日本の職場には、余暇の時間やプライベートを犠牲にしながら働く人が多いです。
休日返上でゴルフに付き合ったり、行きたくもない飲み会に駆り出されたり。余暇の時間を仕事に企てる働き方はなかなか理解されません。
海外には先輩後輩の上下関係や社歴などの概念が薄く、職場では基本的に『個』が尊重されます。そのため、社員を仕事以外の目的で会社に束縛することはできず「上司の命令だ!」「先輩の誘いだ!」などの理由で外国人を納得させるのは至難の業(わざ)です。
そして、欧米諸国を筆頭に海外は基本的に成果主義です。
海外企業では、仕事で結果さえ出ていれば働き方はかなり自由。
そのため、日本の職場にありがちな「新人は上司よりも早く出社しろ!」「雑用も大事な仕事!」などの不効率な職場の慣行も外国人には理解できません。

難しいところ
日本はガチガチのルールと仕組みで組織をまとめるのが得意ですが、それは外国人にとってはストレスでしかない。職場にありがちな同調圧力などは個人主義の外国人に一蹴されるでしょう。
外国人は基本的に「仕事は仕事」とドライに割り切って働くため、仕事を効率良くこなす事だけを考えています。他人がどうこうでは無く自分優先で、仕事が終わったらさっさと帰る。

会社は働く場所
外国人は『ワークライフバランス』をとても重視しますが、その実践が難しいのが日本の職場です。
今回のランキングは様々な項目から成り立っていて、日本は総合的にほぼ最下位なのですが、こと『ワークライフバランス』に関して言えばもちろんビリ。
日本のワークライフバランスは33ヵ国の最下位という結果です。

ズタボロ
外国人が「日本で働きたくない!」と言う原因はたくさんあるのです。
「日本は別に賃金が高くないし…」
「長時間労働が当たり前だし…」
「ワークライフバランスが無いし…」
海外勢は、日本で働くことのメリットをなかなか見出せません。
日本を「外国人が働きたい国」にするには?

冒頭で紹介した記事の中には、このような決定的な一文がありました:
日本のランキングが著しく低いのは、(中略) 全ての項目において評価低いことが原因である。具体的に言うと、賃金については最下位、ワークライフバランスについても最下位、子どもの教育環境についても最下位であった。
海外からすれば、日本は総合的に見て魅力の無い働きづらい国。
この現実は、受け入れるしかない。

だって事実
日本は外国人の受け入れに本腰を入れて乗り出していて、東南アジアからの単純労働者などをメインに移民を率先して受け入れようとしています。
しかし…。
今回の調査結果によれば、日本はフィリピンやベトナムなどよりも魅力が無い国だと見られている。
どれだけ日本が移民政策を頑張っても、海外勢が「日本で働くのムリ!」と考えてしまっては焼け石に水です。
このような状況を変えるには、日本で働く人の意識を変えていく必要があります。

外国人に歩み寄ってみよう
もちろん、給与水準の見直しや福利厚生の拡充なども必要です。
しかし、それ以上に…。
日本は『ストレス大国ニッポン』の働く現場を改善しなければならないのです。
- 日本特有の古い職場慣行の撤廃と仕事の効率化
- 長時間労働の削減
- 年功序列から成果主義への移行
これからの日本社会は今まで以上に外国人を必要とする。この流れはもう不可避です。

直視すべき事実
外国人がご近所さんになったり、同僚になったり。
これまでは特定の業種・業界や地域だけが対象だったかもしれないけれど、これからは全ての分野や地域で外国人と日常的に関わる機会が増えます。
「外国人何考えてるかわからない!」「コワい!」などと頭ごなしに決めつけずに、積極的に関わってみることが大切です。
初見の日本人と友達になる時と同様で、外国人が相手であっても共通の趣味や話題を見つけたりして『見えない壁』を取っ払うこと。
多様性に富む外国人を受け入れて、日本人から積極的に歩み寄ることで相乗効果的に「働きやすい環境」が生まれるでしょう。

“内”と”外”を分けず柔軟にいこう
外国人との交流や協働が当たり前の世の中になれば、職場に外国人がいることも当たり前となる。結果的に、日本人の働き方も変わらざるを得なくなるでしょう。
外国人が日本の職場で普通に働けるようになった時が、日本が『ストレス大国』の汚名を返上できる時なのです。
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