コダモンです。(@kodamon)
ドイツの大学を卒業して、4年半ほど都内の大手日系企業に勤めていました。
そこで経験した日本の働き方が嫌になりドイツのドイツ企業に転職。
ドイツで自由気ままにサラリーマンをしていますが、最近あらためて思うところがありました。
それは、日本の有給休暇にまつわる事です。
日本って何であんなに休みづらいの?
休みづらいワケ①: 休みたい時に休めない!
まずはコレ。
日本の会社で働いていると休みたい時に休めないという現象が起きます。
その理由は様々です。
主な原因の1つは職場の同調圧力。
日本で働いていた当時、実際に経験しました。
日系企業と一括りに言っても、そこには大小様々な会社がありますし職種や分野によっても職場環境はガラッと変わります。
それでも共通して言えるのが、この『同調圧力』の存在です。
日本特有のやつ
その例をあげれば、キリがありません。
- 職場では『空気を読むこと』を求められる。暗黙のルールがある
- 仕事が終わっても誰も帰らない。付き合い残業がある
- 飲み会や行事は基本的に全員参加。断りづらい雰囲気がある
- 休みは年末年始・GW・お盆が相場。タイミングはみんな同じ
職場における同調圧力の問題というのは、多数派が方向性を支配すること。そして、少数意見が弾圧されてしまうということです。
それに抗おう(あらがおう)としても、ほとんどの場合が多勢に無勢。
人間関係の悪化などを怖れて泣き寝入りするパターンが多いです。
1人だけ周りと違う行動を取ると、すぐに周囲からプレッシャーがかかる。
社員全員が同時に休むのは年末年始やお盆などですが、それ以外のタイミングで長期休暇を取るのは、ほぼ不可能。
「何で休むの?」
「お前の仕事は誰がやるんだ?」
「みんな働いているのにズルい!」
…。このような職場環境が、有給休暇の取得に影響します。
誰かが休むと周りがザワつく!
みなさんもご存知の通り、有給休暇というのは労働者の権利です。
有給休暇は労働基準法に基づいて労働者に付与されるもので、仕事で疲れた心身をリフレッシュさせるためのもの。その拒絶は労働基準法違反を意味し罰金の対象になります。有給取得のために上司や職場に休む理由を伝える義務はありません。
有給休暇の取得申請は、本来よほどの理由がない限り却下されてはいけません。
しかし、現実は残酷です。
仮に休めたとしても、職場ですぐヤリ玉にあがる。
冷たい目で見られる
以前こんな事がありました。
前職の日本企業で営業部に所属していた当時のこと。
とある女性社員が金曜日に有給を消化するという事がありました。その人は、ある日を境に月に1〜2回ほど定期的に金曜日に休むようになったのです。
それを見た周りの人間からは、不満の声が続出。
「なんかあの人最近休みすぎじゃない?」
「1人だけズルイよね」
「みんなだって休みたいのに…!」
職場がザワつきます。
ザワ…
日本は集団行動が当たり前で、「辛いのはみんな一緒!」といった精神論が蔓延している職場が多々あります。
コダモンが当時勤めていた部署も同様で、誰かが休むとすぐに1人だけ休むとは何事だ!となる。
その女性社員は、有給休暇の消化という労働者の権利を行使しただけ。それなのに、周りから冷ややかな目で見られてしまう。
職場によってはダメ上司のせいで現場が正しく組織・管理されていないケースも多く、その場合は1人が休むと『仕事がまわらない』という現象がすぐに起きます。部下を休ませるのも上司の仕事ですが、当の本人に部下の代替を務める時間的余裕も器量もないパターンがほとんどです。
仕事がまわらないとマズイので、「休んだら職場に迷惑がかかる…」という意識が社員の間に生まれます。
その結果、その職場の全員が「仕事を休めない…」という負のループに陥るわけです。
こんな体たらく(ていたらく)なので、日本企業の有給取得率は世界的に見ても低いです。
(エクスぺディア・ジャパン,有給休暇国際比較調査2018,2020年3月時点)
そもそも、冒頭で書いたように有給休暇の取得は労働者の権利。
休みを取ることに理由はいらないし、ましてや上司でもない周囲の人間の了承などもってのほか。
それなのに、有給休暇を消化することに対する職場の風当たりがキビしいという現実。
休みたい時に休めないのは、正直キツイです。
長期休暇を取ったら大騒ぎに!?
ドイツに転職した後は、有給事情も大きく変わりました。
ドイツの会社員は有給休暇日数が年間30日などはザラで、そのおかげで多くの人が年に1度は長期休暇に出かけます。
コダモンも例外ではなく、2週間半ほどの夏休みを計画したことがありました。
ドイツでは普通
このような事情は『ドイツでは普通』なのですが、当然日本では普通じゃない。
そのため、今現在働いているドイツ企業で長期休暇を取得する場合は一応ちゃんと日本にいる現地のスタッフにも伝えておく必要があります。
とある会議の最後に「ちなみに…」と自分の夏期休暇の予定を日本スタッフに伝えると、その場が騒然となりました。
「えっ!お盆以外に1週間以上も休むの!?」
「パソコンは持っていくんですか!?」
「休み中は連絡つくんですか!?」
…。
夏休みを取るだけなのに、日本のオフィスは大騒ぎです。
彼ら/彼女らは、関係者が誰か1人でも休むと「仕事がまわらなくなる!」と本気で思っているのです。
はぁ…
当然、自分が休んだからといって仕事が止まることはなく、休みに入る前にキチンとやるべき事は終わらせます。突発的な問題が仮に発生した場合は上司の判断に委ねます。
担当者が不在というのはドイツではよくあることで、場合によっては『取引先を待たせる』ということすらあります。上層部へしわ寄せが行くような重大な案件であれば、休み前に短期的に上司へ引き継ぎます。部下がしっかり休みを取るのも上司の責任、というわけです。
欧米諸国では社員が長期休暇を取ることが当たり前であり、企業の組織体制もそれに準じた仕組みや風土で成り立っています。
休むことに慣れていない日本人に、欧州の休暇事情はなかなか理解されません。
ドイツで長期休暇を取得したら地球の反対側から総ツッコミを受けたこと。今となっては良い思い出です。
休みづらいワケ②: 上司が率先して休まない!
ドイツでは『部下が有給休暇を消化するのも上司の責任』と書きましたが、その真逆を行くのが日本です。
日系の大手企業に在籍していた当時は上司が率先して休まないというのがデフォルトでした。
部長以下ほとんどの上司がお盆や正月休み以外、休まない。
休まず働くことは素晴らしい!という風に完全に美化されていました。
「辛いのはみんな一緒!」という精神のもと休まないことが褒められる対象になるので、社員はみんな『献身的な姿勢』を見せようと頑張ります。
上司も必死で、部下のお手本になるために休まない。
マジで始末が悪い
上司が休まない職場は、当然部下が休みづらい。
「上司が休まないから休めない…」「自分だけ休めない…」という意識が社員の間に芽生えます。
休んだらヤバいという雰囲気が常にあるのです。
昨今は日本でもコンプライアンスの意識が高まり、有給休暇の消化に関しても法整備が整いつつあります。
それでも、実際に働く現場に目を向けると日本では満足に有給休暇すら取得できない。
その原因の1つが、有給休暇を積極的に消化しない上司の存在、です。
休みづらいワケ③: 休むタイミングはみんな一緒!
最後はコレ。
日本では基本的に有給休暇の取得のタイミングが決まっています。
年末年始やゴールデンウィーク、お盆という決まったタイミングでみんな一斉に休むのです。
そして、みんなと違うタイミングで休むと「なぜ?」と説明を求められてしまう。
不思議な現象
繰り返しになりますが、そもそも有給休暇の取得は労働者の権利です。
休むための”理由”はいりません。
決まったタイミングで一斉に休むこと。
その背景には「取引先も休みだから」などの一見まともに見える理由もあります。
しかし…。
そんなものは関係ない。
確かに、会社側には繁忙期の場合や会社の利益に大きく直結するような懸念があれば、社員の有給休暇を調整させることができます。
でも、ここではソレが問題ではない。
結局のところ、日本の職場には常日頃から休みづらい雰囲気がある。
そして、周りと足並みを揃えずに休むと冷ややかな目で見られるのです。
いちいちめんどくさい
みんなと一緒に休まないのは悪いこと!と言わんばかりの風潮です。
休みたいタイミングで休めず、長期休暇も取りづらい。上司が休まないから部下も休みづらいし、休む時はみんなと同じタイミングで休まないといけない。そんな日本の職場。
長期休暇を満足に取れず、リフレッシュすることもままならずにストレスを溜め続ける現代の社会人。
やり場のない疲れを抱え続けたまま働くと、いつしか心身に支障をきたす危険すらあります。
休まず働くことは、決して美徳なんかではありません。
健康的な会社員生活を送るために、『労働者の権利』である有給休暇を取得して心と体にしっかり休みを与えましょう。
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