コダモンです。(@kodamon)
日本の高校を卒業した後に、ドイツの大学に入学しました。
今現在はドイツ企業に勤めていますが、ありがたいことにグローバルな人材としてビジネスシーンで重宝されています。
ドイツとのハーフですが、一応4ヶ国語を話せます。
エッヘン
今の自分があるのは、ドイツで経験した大学生活のおかげ。
語学力やグローバルコミュニケーション能力が身につき、ネットワークも広がりました。
そんな今回は、海外留学をしたい人や将来海外で働きたい人に向けてドイツハーフが教えます。
ドイツの大学はココが良い!
社会人になってからでは色々な制約もあるため、基本的には学生の時に海外へ進出することがオススメです。
海外と聞くと欧米諸国をイメージしがちだけれど、中国やマレーシアなどのアジア圏も当然海外。
そのため、もし海外で大学生活を送りたいのであれば、まずは学びたい言語から渡航先を決めると良いでしょう。
自分の場合はドイツにゆかりがあったので、当然ドイツ一択。
行こうと決めてた
ということで、自分の経験も踏まえて今回はドイツの大学にフォーカスします。
まずはドイツの大学に通うメリットを簡単にまとまめてみました。
ドイツの大学は学費がゼロ!?
ドイツの大学は総じて費用が安いです。
ドイツでも有名なケルン大学を例に見ると、ざっくりこんな感じです:
- 学費: 0 ユーロ
- 登録料: 280 ユーロ (学期毎1年に2回)
- 教材費: 自費
- 学生寮: 152 ユーロ/月 〜
(Universität Köln[ケルン大学], NRW州の例,2020年3月時点)
(Kölner Studierenden Werk, ケルン市内の学生寮の場合,2020年3月時点)
なんと、学費はゼロ。
“Semesterbeitrag”と呼ばれる共済費が280ユーロ(1ユーロ125円換算で約3万5千円)ほどかかますが、これが実はとってもお得。
なんと、この3万5千円には公共交通機関が乗り放題の費用が含まれます。
その大学がある州の域内であれば、この費用を払う事で電車やバスが乗り放題。
いわゆる『学割定期代』込みなのです。
めっちゃ安い
ドイツの大学は前期と後期にわかれているので、半年に1回だけ『定期代』として3万5千円を払えば、それ以外は大学へ払うお金はゼロ。
また、ドイツは学生寮も充実している場合が多いです。
入居する場合はピンキリで、WG (“Wohngemeinschaft”) と呼ばれるルームシェアもあります。
事前準備と条件次第では、月額2〜3万円程度の安い部屋に入居する事も可能。
ドイツの学生生活はとにかく安価。
この理由だけでも、ドイツの大学を選ぶ価値は十分ありました。
自由度が高いドイツの大学
次に、ドイツの大学はとても自由。
学生達は卒業までのスケジュールを全て自分で考えて決めています。
学士過程にせよ修士にせよ、いわゆる基本的な在学期間というのは決まっています。しかし、学生の専攻や経済的状況などによって『卒業までの過程』は人それぞれ異なるのです。
そのため、ドイツの学生は卒業のタイミングも各々異なります。
いわゆる4年制の大学でも、日本のようにキッチリ4年で卒業しないケースはたくさんある。
全部自分で決める
学生の中には、大学在学中に留学やインターンシップなどを通して学業以外に経験値を積む人もいます。
かくいう自分も、当時ありがたい事に奨学金をもらって留学することができました。ドイツの大学に通いながら、通算2年ほど中国にいた。
珍しいスタイル
ドイツの大学の高い自由度とその恩恵に授かって、回り道もしつつ、グローバルな環境で着実に自信とスキルを身につけていきました。
卒業時期が同期より先延ばしになっても、自分の将来に有益になるのであれば寄り道を惜しまない。
卒業までのスケジュールを熟考して将来通用するキルや経験を重視するのがドイツの学生です。
日本人がドイツで大学生になるには?
これからご紹介する内容は、DAAD(“Deutscher Akademischer Austauschdienst”、ドイツ学術交流会) という機関が正式に発表しているもの。
DAADは、ドイツ国内でも有名な奨学金制度を敷く組織です。
ドイツでの就学に関する有益な情報を日本語でも発信しています。
かなり有名
あくまでこちらの情報を元に、一般的な方法をざっくりまとめてみました。(2023年2月更新)
日本の高校を卒業する/している場合
まず、高校卒業と同時にドイツの大学へ行くための条件です。
12年の学校教育を修了して日本の高校を卒業し、センター試験も受験し、センター試験で62%以上の成績をおさめた学科及び関連学科に出願できます。
要するに、とりあえず高卒であることが最低ラインの条件です。
同時に、高校3年間を通して全ての学年で数学、理科(1科目)、外国語(1科目)、国語を履修している必要があります。ですが、これは普通に高校生をしていれば問題無いレベルでしょう。
ハードルは高くない
1点だけ気になるのは、センター試験で62%以上の成績を収めていることという条件。
ここで対象となる科目は、各自が『希望する大学』にもよります。
センター試験のどの学科で62%以上の成績をおさめるべきかは留学希望の大学にご相談ください。
DAADの大学入学条件にはそのように書かれていますが、要はセンター試験で総合的に62%以上の点数が必要になるわけではなく、特定の学科で62%以上の点数を取る必要があるということです。
ただし、62%という設定自体はそこまで高くないと感じます。
将来行きたい学科が決まっている場合は、その科目でセンター試験で62%以上の成績を収める必要があるという事です。
4年制大学/短大卒の場合
長文が続きますが、まとめます。
4年制大学の学部過程で1年以上を修了した場合:
その専攻学科および関連学科に出願できます。ただし、1年で35単位以上を習得していることが求められます(2年で70単位以上、3年で105単位以上…)。
ふむふむ
要するに、仮に『日本の4年生大学』の途中からドイツへ正規の留学を試みる場合は、出願に際して一定の成績が求められるという事です。
単位が足りない人は必然的に対象外なので、こういった条件は事前に把握しておく必要があります。
日本の短期大学を卒業した場合:
短期大学で専攻した学科に出願できます。専攻を変える場合は、Studienkolleg (大学入学準備課程)で1年間その分野の勉強をし、その分野の大学入学資格試験 (Feststellungsprüfung) に合格する必要があります。
短期大学の場合だと、回り道をして学び直さない限り出願できる学科が決まってしまいます。
これは、選択肢が狭まってしまうためちょっと不利な印象です。
日本の4年制大学を卒業ている場合:
日本の4年制以上の大学(全日)を卒業して学士号を取得した場合、任意の学科に出願できます。
4年制の大学を卒業している人であれば、必要書類さえ揃えれば正規留学が可能という事です。
また、音大などの芸術系の大学でも成績次第で正規の留学は可能のようです。
注) DAADは次のように明記しています:「最終的には各大学が判断しますので、いずれの場合もご自身に入学申請資格があるかどうかを留学希望の大学の留学生課にご確認ください」
必要な書類の揃え方
ドイツの大学に通うために必要な書類。
一番肝心な部分です。
気になる
まず、次の2つの書類は必ず必要になります:
- 大学入学の願書
- 高校の卒業証明・成績証明 / または 大学の卒業証明・成績証明
大学入学の願書
日本の大学への入学時と同じように、ドイツでも願書が必要です。
基本事項を記入するための願書は、まず各大学のホームページで出願経路を確認してからダウンロードしましょう。(詳しくは後述)
あくまで参考程度に、3つの大学を例に『外国人のための願書』のリンク先を貼っておきます:
とりあえず調べてみて!
卒業証明・成績証明
次に必要になるのが、卒業証明と成績証明です。
高校卒業と同時に留学するのであれば、当然大学関連の書類は必要ありません。
ただし、センター試験の成績証が必要になるのでお忘れなく。
そして、当たり前のことですが…。
これらの証明書は全て英語またはドイツ語でなければなりません!
センター試験の成績開示及び英文の成績証明書の発行は、大学入試センターに問い合わせることで入手可能です。いずれにせよ、書類を英文で入手するのは問題ないでしょう。
日本語じゃダメ
問題はドイツ語訳です。
出願先の大学によっては『ドイツ語のみ受け付け可』という所もあるかもしれません。
そんな時も、自分で翻訳したりするのはもちろんダメ。
正式な翻訳として認証翻訳(“beglaubigte Übersetzung”) が必要になります。
認証翻訳は、役所や裁判所、その他公的機関へ提出する際のドイツ語訳です。公認翻訳士による翻訳で、「アポスティーユ」とも呼ばれるもの。
詳しくはドイツ大使館の認証翻訳などをご参照ください。
この翻訳には数千円~数万円程度のお金がかかりますが、卒業証書や成績証明書はほとんどの場合日本語ですので、基本的には全て認証翻訳を委託する事になります。
ドイツ語のスキル証明は?
留学ですので、もちろん大学側は出願者のドイツ語レベルを確認します。
日本人も例外でなく、ドイツ留学に際してドイツ語能力を証明する必要があります。
具体的には以下の何れかのテストで必要なスコアを取得する事になります:
(獨協大学HP, 2020年3月時点)
そしてもう一つ。
TestDaFについては、”Goethe Institut”(ゲーテ・インスティトゥート)というドイツの文化機関のドイツ語検定試験に日本語での詳しい説明があります。
留学に必要なドイツ語のスコア/レベルは留学先の大学によって異なります。
それも調べる!
ちなみに参考までに:
ドイツでも有名なケルン大学は”DSH-2″を最低ラインに設定しています。
そのために、ケルン大学に留学したい外国人は一律DSHの試験を受けて“DSH-2″以上の成績を収める必要がある、という事です。
あくまで例ですが、ケルン大学のホームページで検索していくとこちらのようなページにたどり着くはずです。
どの大学も外国人を比較的広く・丁寧に招致しているので、出願ページや必要書類に関する記載はしっかり作り込まれています。
そして、あくまで自分の経験談ですが…。
ドイツの大学はかなりレベルが高いです。
ドイツ語はある程度マスターしないと、ドイツへ行ってから必ず後悔します。
そのため、準備運動も兼ねて、根気強くドイツ語で検索をかけること。
海外留学には意外な落とし穴も多いので、事前にしっかりリサーチすることが大切です。
大学によっては、EU圏内とそれ以外の国の留学生で要求される語学レベルや必要書類が変わるケースもあります。
また、書類提出期限が日本の大学とは異なる場合も多い。前述のケルン大学などは、1年を通して「1月15日」と「7月15日」が願書の提出期限です。前期と後期に入学できるため、願書の提出期限も2回あるのです。
知らないとアウト
まずは留学に必要な項目を洗いざらい調べてみましょう。
実際に出願するには?
必要な書類が揃ったら、後はその書類をどのように提出するか調べます。
願書の提出は、『直接留学先の大学に提出するパターン』そして『“uni-assist” 経由で出願するパターン』という2通りに分かれます。
直接留学先の大学に提出するパターンは、まさにその名の通り。各大学のホームページにある手順に則って、然るべき書類をダウンロードしましょう。
大抵はオンライン出願になるはずです。
便利になったもんだ
もう1つ、“uni-assist” 経由で出願するパターンですが、ドイツ留学はこの方法が多いようです。
前述のケルン大学もそうですが、ベルリン大学なども同様の手順です:
Bewerber mit ausländischer Hochschulzugangsberechtigung bewerben sich bei der Freien Universität Berlin grundsätzlich über ASSIST e.V. (www.uni-assist.de).
どういう事かというと…。
“uni-assist”というのは大学の出願代行機関なのです。希望の留学先にもよりますが、大学がuni-assistと提携しているケースがあり、代行依頼する形になります。
ベルリン大学やケルン大学のように、募集要項のところに「出願書類を“uni-assist”に送るように」と記載されている場合は、そこを通して出願することになります。
uni-assist には、こちらからアクセスしてみましょう。
いかがだったでしょうか?
あくまで導入編として、ドイツの大学へ行くための手順と要項をまとめてみました。
ざっくりまとめ
ドイツの大学への留学は、ドイツ語のスキルさえ身につければ出願のハードルはそこまで高くありません。
根気よくリサーチすれば、必要書類やスケジュールなどが見えてきます。
ドイツの大学を卒業した経験は、今でも自分の宝物。とてもオススメです。
(注: 今回はドイツの総合大学[ Universität = University] を対象にしました。年度毎に規定が変わり、各州や大学毎にもスケジュールやガイドラインの違いがあるのでご注意ください)
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コメント
わかりやすい説明ありがとうございます!
センター試験の受験科目なのですが、いろいろな大学に聞いてみたのですが、返信がないかわからないといった返答しかもらえませんでした。
例えば生物学部を希望する場合、生物で62%以上とればいいということですか?
それとも理系科目の数学や化学も必要だと思いますか?
何か知っていることがあれば教えてください!よろしくお願いします!
コメントありがとうございます。
DAADによると、『センター試験で62%以上の成績をおさめた学科及び関連学科』となっています。
そのため、「生物学部を希望する場合、生物で62%以上とればいいということですか?」に対する答えはyesです。
『関連する学科』という部分に関して、「理系科目の数学や化学も必要だと思いますか?」というご質問の回答はやはり大学側から欲しいところです。
ドイツの大学にはメールで確認されたのでしょうか? よろしければ当サイトの『お問い合わせ』から詳細をご連絡ください。