コダモンです。(@kodamon)
「海外で働きたい!」そのように思い立ったら、ビザについて調べる必要があります。
ビザの取得条件や種類は国によって様々で、その内容を理解するだけでも一苦労。
けっこう複雑
今回は導入編という位置付けで、あくまでざっくり「ビザとはなんぞや?」をまとめてみました。
海外進出の足がかりとして、参考にしてください。
(注: 本記事は外務省のHPの情報を元に作成しています)
(詳細は国内の渡航先国の大使館・総領事館に確認し最新の情報を入手してください)
『ビザ』ってそもそも何?
査証(さしょう)またはビザとは、国家が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書である。多くの国では入国を保証するものではなく、入国許可(上陸許可)申請に必要な書類の一部となっている。
(フリー百科事典『ウィキペディア』,査証,2020年3月時点)
要するに、ビザというものは外国へ行くために必要な事前調査。『身元審査』のようなものです。
犯罪歴などが原因でこの査証が発給されなければ、原則として対象国への入国は許可されません。
ビザ必須
しかし実際は、ビザ免除措置を行なっている国や地域が多いです。
例えばドイツ。有効な日本国のパスポートを有する人は、90日以内であればビザなしでドイツに滞在することができます。その逆も同様で、ドイツ人はビザなしで同じように日本に滞在できる。
ただし…。これは『観光』『知人・親族訪問』『出張』などに限った場合。
仮にドイツで働きたい場合は、必ずビザが必要になるのです。
ビザはいつ、どういう時に必要?
日本国籍のパスポート所持者がビザなしで渡航可能な国は、およそ190カ国。
基本的に、日本人であればほとんどの国でビザが必要ありません。
日本のパスポートは最強
…というのは、あくまでも短期滞在の場合。
次のような場合は、必ずビザが必要になります。
- 留学(学生ビザ)
- 就職(就労ビザ)
- ワーキング・ホリデー
- ビザが免除されていない国や地域への渡航
ワーキングホリーデーについてはこちらの記事も参照してください:
その他にも外交や公用の査証もありますが、ここでは割愛します。
あと、ちょっと特殊な例がアメリカ。
日本人が90日以内の短期滞在を目的としてアメリカに訪れる場合、事前に”ESTA” (エスタ、”Electronic System for Travel Authorization”の略)と呼ばれる電子渡航認証システムの認証を受けることが必要です。
これがないと入国できない
(政府広報オンライン,暮らしに役立つ情報,2020年3月時点)
そのため、アメリカに渡航する場合は観光であれ出張であれ、誰でも一律このESTAを事前に申請して認証を受ける必要があります。ちなみに申請料金は14ドル。
ちょっと話がズレましたが、海外で働くためには必ず『就労ビザ』が必要になるのです。
海外で働くための『就労ビザ』の申請方法は?
『就労ビザ』と一言に言っても、その取得方法は国や地域によって大きく異なります。
そして、実は『就労ビザ』という括り(くくり)も国によって異なります。
『滞在許可証』とか
ビザの名前や金額は訪れる国によって異なり、さらに『国や地域によって取得方法が異なる!』という部分を認識しておく必要があります。
そのため、ビザの申請方法や取得条件は日本国内にある渡航先国の大使館・総領事館に確認して情報を入手しましょう。
そして…。基本的に就労ビザの取得難易度は高いです。
諸外国はどの国も自国民の雇用を安定させる必要があるので、外国人を自国で働かせるには、それなりのスキルを持ち合わせた『必要な人材』でなければならない。
『就労ビザ』というのは、申請すれば誰でも取得できるものではないのです。
ハードル高い
あくまで参考程度に、2つの国を例に『就労ビザの取得条件』を見てみましょう。
ビザ取得条件: アメリカの場合
アメリカで正規雇用として働くためには…。
ビザを申請できる『学歴・職歴』を持ち合わせていること!
これが必須条件です。
いわゆる『就労ビザ』に該当するのは“H-1Bビザ”と呼ばれる種類。特殊技能職という位置付けです。
ビザの種類だけでも10種類以上ある…さすがアメリカ。
かなり細かい
“H-1B”(特殊技能職)に関する規定がコチラ:
(米国ビザ申請,就労ビザ,2020年3月時点)
要するに、H-1Bビザはアメリカでの仕事に必要な分野での学位を4年制大学以上で取得している必要があるのです。
原則4大卒以上ですが、短大卒でも社会人として一定の実務経験を積んでいる事を証明できれば良い場合もあるそうです。
いずれにせよ、「プロフェッショナルな職務内容であること」「学位と職務内容が一致すること」が条件です。
これらの条件を満たしたら、ようやくスタートラインに立てた事になります。
ここからが本題
H-1Bは「高度な専門知識を要する職業」という位置付けなので、それ相応の勤務先と職務内容である必要があります。
しかし…さらに驚愕の事実が。
なんと、このH-1Bビザは抽選制度なのです。
そう。クジ運です。
…さすがアメリカ
アメリカの移民事情はとてもデリケートで有名。永住権の入手が非常に難しいのと同様に、就労ビザの取得数にも毎年制限が設けられています。
発給数が限られているので、抽選方式になるわけです。
2017年の例:
(Lighthouseロサンゼルス,『アメリカ就労ビザの申請方法』,2020年3月時点)
ランダム抽選…
これはかなり狭き門です。
ビザの有効期限は3年であり、抽選は無作為。国籍で優遇される事などには期待できません。
しかも…。
審査書類を提出するだけでも一苦労です。
「労働局申請」と「移民局申請」とがあるらしく…。採用職務などを労働局に申告し、それに基づいて給与額を設定する過程がある。その流れで、自分の給与額が決まった段階で移民局への申請となるのだとか。
なんのこっちゃ
要するに、ビザを申請する時点では予定勤務先が決まっているので、企業側がスポンサーとして「この人は経済移民じゃないよ!」「ウチに必要な人材だよ!」という事をふまえて現地の移民帰化局に申請してくれる…という事です。
審査が厳しく申請も煩雑なので、弁護士が必要なレベル。
さらに…。
申請料は弁護士費用も入れると諸々でおよそ5,000ドルほどもかかるらしい。その一部は抽選に通れば返金されるらしいけど…。
このようにザックリ見ただけでも、アメリカの就労ビザ取得は難易度が高いという事がわかります。
ちなみに、駐在員などの『企業内転勤者』には別の種類のビザが存在しており、その『同行家族』にもまたまた別のビザが存在します。
すごく細かい
アメリカへの就労ビザでの渡航は、世界的に見てもかなりハードルが高いです。
(※申請に必要な書類などは『米国ビザ申請』のサイトを参考にしてみてください)
ビザ取得条件:ドイツの場合
ドイツとのハーフでもある自分は、海外で働くならドイツをおすすめします。
ドイツ企業には、英語で仕事をする海外からのプロフェッショナル人材がたくさんいます。
そんなドイツには就労ビザの抽選制度はなく、条件を満たして必要書類を揃えば申請が却下されることもありません。
安心
ドイツの『就労ビザ』の正式呼称は”Aufenthaltserlaubnis”(= 滞在許可証)です。
ビザ申請に関してはドイツの予定勤務先で『正規雇用』が決まっている必要があり、この辺りはアメリカと同じ。将来の勤務先と一緒にビザ申請をする流れになります。
ドイツで正社員雇用となれば、必然的に企業を通して以下の手続きが進みます:
- 給与から天引きされる税金と年金(の納入)
- 健康保険への加入
- 手取り給与額(の審査)
同時に、これらはビザの申請に必要な証明となります。
要するに、ドイツでは就職先が決まれば雇用主がビザ申請の面倒を見れくれるのです。納税の義務は当然発生するし、保険への加入ナシで雇用する会社は存在しませんので。
企業側が「ウチはこの日本人を正社員登用して十分な給与も与えます!」というサポートをしてくれる事で、『滞在許可』へとつながるのです。
ドイツの就労ビザはあくまで『滞在許可証』なので、申請する外国人は、国の補助がなくても生活ができる給与水準をクリアしている必要があります。
例えば、ドイツには税金の支払いが免除となる月額上限450ユーロの”Minijob”(ミニジョブ)と呼ばれるバイトのような就業方法がありますが、就労ビザの申請は「それではダメ!」という事です。
正社員じゃなきゃダメ
あくまでも、税金を納める雇用形態を確保してはじめて、就労ビザの申請ができます。
一度就職が決まれば、その後の更新も企業側が随時面倒を見てくれます。大きな問題さえ起こさなければ、1~3年毎に更新されるでしょう。
(※申請に必要な書類などはドイツ大使館の『ビザ・各種申請手続き』を参考にしてみてください)
いかがだったでしょうか?
あくまでも参考程度に、海外で働くための『ビザ』にまつわる事情をまとめてみました。
実際の申請には、この記事に記載されていない書類や手続きが必要となります。気になる人は、記事内リンクから渡航先国の大使館・総領事館のHPへアクセスして詳細を調べてみてください。
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