コダモンです。(@kodamon)
日本ではTOEIC(トイック, “Test of English for International Communication”)という英語テストが頻繁に行われます。
学校や企業が団体で受験を申し込む事も多く、『正式な英語検定試験』として一般に認知されている。
日本ではTOEICの試験結果が採用や昇進の基準になったり、転職や進学に役立つと言われています。

日本はTOEICが多い
以前4年半で辞めた日系大手企業でも、入社後すぐにTOEICを受験させられました。
部署や職種に関係なく、管理職になるためにもTOEICの点数がからんでくる。それほど幅広く採用されています。
海外で働くためには高い英語力が必要ですが、TOEICで何点を取る必要があるのでしょうか?
日本で求められる英語力はハードルが低い!?

TOEICは日本ではとても有名ですが、海外では意外と無名。TOEFLなど別の英語試験が基準になったりします。
TOEICの点数を気にするのは日本の専売特許です。

TOEIC大好き?
TOEICは、ビジネス英語に必要な語彙力の基準に用いられる英語テスト。このテストの結果で、企業や公的機関は採用する人材の英語能力を査定しています。
海外でTOEICが基準にされることは稀ですが、日本は何かとTOEICの点数で人材の英語力を判断したがる傾向がある。
TOEICはリスニングが495点満点とライティングが同様に495満点、合計で990点満点のテストです。
そんな中、日本ではこのような基準をよく見かけます:
管理職になるためにはTOEIC550点以上が必要!
海外営業ポジションはTOEIC700点以上必須!
日本では『700点』を獲得できれば海外勢と対等に渡り合える…と判断する会社もある。

ハードル低い?
ちなみにドイツでは、英語でビジネスをする場合は『C1レベルが望ましい』という場合があります。
“C1″とは、英語の語学レベルを表すもの。
TOEICテストの場合は次のようになっています:
- A1: 60 – 105 (listening), 60 – 110 (reading)
- A2: 110 – 270 (listening), 115 – 270 (reading)
- B1: 275 – 395 (listening), 275 – 380 (reading)
- B2: 400 – 485 (listening), 385 – 450 (reading)
- C1: 490 – 495 (listening), 455 – 495(reading)
(Gemeinsamer Europäischer Referenzrahmen für Sprachen,2020年3月時点)
ドイツで英語を使って仕事をする場合は『TOEIC 945点以上』くらいのレベルが必要になってくる…という場合もあります。

レベル高め
もちろん業種にもよるし…あくまでも指標。
しかし、学生の場合も同様で、例えば経済学で「インターナショナルマーケティング」などを専攻する場合は講義や教材は全部英語だったりする。
そのような場合にも『C1レベルの英語力必須』などの条件があったりします。
あくまで一つの例ですが、ブレーメン大学の神経科学のマスターでは英語圏以外の学生はC1レベルの英語能力の証明が必要です。

(Universität Bremen,MSc Neurosciences – application and admission,2020年3月時点)
講義がほぼ全て英語という学部もあり、高いレベルの英語能力がスタンダード化されている大学もある。
ドイツ国内の求人票には「英語ビジネスレベル必須」「英語が流暢であること」と当たり前のように記載されています。日本のように「TOEIC〇〇点以上」という指標はない。ドイツ企業の面接官は人事も上司も普通にビジネス英語を話すので、その場で容赦なく英語レベルが試されます。
ドイツをはじめ欧米では英語はそもそも回避できない。高いレベルが当然のように求められます。
日本でたまに見かける「TOEIC 700点以上」という設定は、海外ではレベルが低い設定だとも言えます。

うーん…
日本企業が相手にするのはグローバル展開する海外企業。商談の場では、お互いがビジネス英語でコミュニケーションを取る必要があるのです
それなのに、なぜか日本だけが英語レベル低く設定されている。
海外で働くためには、このような『根本的な差』を意識しつつ英語の習得に励む必要もありそうです。
海外で働くにはTOEIC何点が必要なの?
まわりくどくなりましたが、結論から。
海外で働きたいならTOEIC900点が目標です。
その理由は単純で、海外ではそもそも『英語が話せて当たり前』だからです。

英語フツーに使う
高い英語能力の指標となる”C1レベル”。TOEICでは945点以上が相当しますが、海外の就職先次第では、それが基準になってしまう事もあります。
ただし、TOEICの点数だけでは英語のコミュニケーション能力は判断できません。
「やった! 頑張ってTOEIC対策をして900点を超えたぞ!」
このような『900点』とはニュアンスが違う…という意味です。

それは『お勉強上手』なだけ
実際に使えるビジネス英語のスキルがないと意味がありません。
試験対策をして、頑張ってTOEIC高得点をゲットすれば日本企業の昇進に役立つかもしれないけど、海外で働くには不十分かもしれない。
それらを踏まえて、海外で働くためにはTOEIC900点くらいが必要という事です。
実際にドイツで会社員をしていますが、周りは老若男女みんな英語ができる。

英語できない人いない
海外で『外国人』として働く日本人は、やはり英語はできて当然であるべきだと見なされます。
専門のスキルで海外進出を目論む人も、英語のスキルを是非ともしっかり身につけておきたいところです。
ドイツ国内のドイツ企業でも英語をよく使う!

海外で働くという事は、公用語の英語の比率が大きくなります。
中国系企業に就職すれば中国語が役立つでしょうし、フランスで現地採用となればもちろんフランス語が話せれば便利です。
しかし、仮に現地の言葉が堪能であっても、やはり英語が必ず必要になります。

英語は必須
これまでドイツで実際に3年ほど営業としてグローバルに仕事をしてきましたが、日々の業務で使用する言語の比率はこんな感じです:

実際に細かい時間配分を調べたわけではないですが、優先的に使用する言語はドイツ語と英語です。

あくまで体感
ドイツハーフでドイツ語をしゃべれるのに、それでも英語の使用率の方がわずかに高い。
同僚との日常会話や上司とのやり取りなど『社内コミュニケーション』は当然ドイツ語ですが、グローバル企業で取引先も海外企業が多いため英語をよく使います。
ドイツで働いているのに、母国語のドイツ語よりも英語を使う。
社内には外国人従業員が大勢いるし、海外拠点とのやり取りも全部英語。取引先も国外ではあれば英語です。
プロジェクトの打ち合わせなど、1人でも『外国人』が参加する場合は英語に切り替わります。
資料なども、グローバル企業で『ドイツ人以外』にもシェア・展開される事を考慮して英語で作成される事が多いです。

英語だらけ
自分の場合は、個人的に日本語が話せるので日系企業を相手にビジネスをする場合は日本語も使います。自分の得意な言語でグローバルに活躍できている、ありがたい環境です。
海外で働くためには英語は必要不可欠。そして、そのレベルが高ければ高いほど良いのは言うまでもありません。
TOEIC以外に求められる実践スキル
今回は『TOEIC』に焦点を当てましたが、海外で1番大事なのはやはり実践スキル。
テスト勉強では得られない、実際に使える英語スキルです。

ビジネスで使える英語
結局のところ、日本でTOEICの点数が重要視される背景には日本企業に存在する『TOEIC高得点=グローバル人材』という一定の考えがあります。
しかし…。いくらTOEICの点数が高くても、それは『テスト勉強が上手なだけ』かもしれない。
採用する企業側にも、日本では残念ながら『英語を高レベルで判断できる面接官がいない』場合が多い。そのため、TOEICの点数で判断せざるを得ないのかもしれない。
日本の会社で求められるTOEICの点数のハードルが低い事は、日本人の英語レベルが比較的低い事が原因だと思われます。厳しい言い方だけど…恐らくこれが現実。
日系の大手企業に4年半勤務していましたが、ビジネスレベルの英語力を身につけた人はほとんどいませんでした。TOEIC700点や800点で自動的に『グローバル人材扱い』をされる場合もいます。

うーん…
海外で就職する場合は英語のスキルは必須です。得意不得意などと言うレベルではなく、英語ができないと仕事にならない。
海外、特に欧米諸国は実力主義の社会なので、採用となった瞬間から即戦力として成果を期待される。ビジネスレベルの英語がすぐに求められます。
TOEICの点数が高いのは素晴らしいことですが…。それだけではダメ。
自分の意思を100%確実に英語で伝えることのできる語学力に加えて、その国の文化や政治背景なども考慮したコミュニケーション能力が問われます。極端な話、『現地スタッフの訛った英語』などにも柔軟に対応できるような知識経験が必要になります。
日本を出て海外で働きたい場合は、それ相応の場数を踏んでいる必要がある。留学経験や、実際に外国人を相手に英語でビジネスをリードした経験が大切です。
海外で働く場合はTOEICでは測れないコミュニケーション能力が必要なのです。
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