コダモンです。(@kodamon)
ドイツの大学を卒業してから日系の大手企業に就職しました。
そこで実際にゴリゴリの日本の職場を経験しましたが、4年半で嫌になりさっさと転職。
今はドイツ国内のドイツ企業で気ままにサラリーマンをしています。
日本とドイツでサラリーマンをやってみたわけですが、今思い返せば日本の働き方はストレスまみれでした。
かなりヤバかった
長時間労働が当たり前で年功序列のシステムがあり、職場のルールがとても細かい日本。
先輩後輩の人間関係も複雑になりがちで、日本人ですら苦労します。
そのような日本で、「ぜひ働いてみたい!」と言う外国人は…残念ながら少ない。
そしてそれが、深刻な問題に発展しつつあります。
外国人が働きたくない国、日本
英金融大手のHSBCホールディングスが実施した「各国の駐在員が働きたい国ランキング」の調査によると、日本はほぼ最下位という散々な結果でした。
(ITmedia オンラインビジネス,2019年11月時点)
さらにさらに。
海外に住む外国人のためのコミュニティサイト InterNations がまとめているランキング “外国人が住みたい国・働きたい国ベスト&ワースト” によると…。
なんと、日本は59カ国中のワースト6位でした。
(Business Insider, 2023年2月時点)
外国人が滞在先の国の生活を様々な観点から評価した結果、日本には相当厳しい評価が下された。
大丈夫かコレ
これらのランキングでは、「独特の文化になじむのが大変」「ワークライフバランスがない」などの声があがっており、総合的に日本の働きづらさが反映されてしまっているようです。
また、昨今の日本では何かと低賃金や物価高が話題になっていますが、それは外国人にとっても同じ。
様々なマイナス要因が浮き彫りになっていますが、日本は本当に外国人が働きたくない国なのでしょうか?
なぜ外国人は日本に必要なのか
外国人が日本を魅力的な就職先と考えていないという事実。
それを聞いて、「は?」「だから何?」みたいな反応をする人もいるかもしれません。
「日本で働きたくないなら来るな」
「外国人なんて別に必要なくね?」
そのようなスタンスは、今後の日本社会ではもう通用しない。
そもそも、日本では既に相当数の外国人が働いています。
(日本経済新聞,「外国人依存度、業種・都道府県ランキング」,2019年11月時点)
日本の外国人労働者は、もう既にかなりのスピードで増えています。
そして、日本国内の多くの仕事が既に外国人によって支えられている。
日本の将来はもはや外国人ナシでは成り立たないのです。
高度プロフェッショナルな人材はまだしも、海外からの単純労働者を確保できなければ、日本は深刻な問題に直面します。
人手不足は、もう国内の人材だけでは解消できないのです。
(高齢化の現状「平成30年版高齢社会白書」 2019年11月時点)
日本人が「単純労働したくない!」「キツイ仕事したくない!」と言って請け負わない多くの仕事は、既に外国人労働者によって支えられています。
具体的には漁業、農業、林業や食料品製造など。
これらの業種は賃金上昇で人手不足が解決すような単純な話ではなく、日本国内だけでは人が集まらないという根本的な問題を抱えています。
介護・看護の現場も同様です。単純労働に従事してくれる外国人がいなければ、日本人だけでカバーする事は不可能です。
外国人がいなければ将来的にお金持ちの家庭以外はみんな自宅で親の介護を強いられるかもしれないし、農業などの第一次産業も人手不足が深刻なので外国人依存となります。
海外からの労働者がいないと、日本産の農作物が減って価格が高騰する。農家が外国人実習生や将来の担い手を海外から確保できないと、いつかあなたの住む街のスーパーから野菜が消えるかもしれない。
マジで深刻
もっと身近なところでは、多くの飲食店やコンビニはもう完全に『外国人バイト依存』。都内を中心にコンビニの外国人労働者が増えているのは、もはや当たり前の光景ですね。
これらの対策として、日本は既に外国人の受け入れに関して積極的に動いています。在留資格が得られる業種を増やしたり、制度設定と法律改正を見直したり。外国人が日本で就労しやすい環境を着々と整えているのです。
でも…。
そもそも外国人が「日本で働きたくない」と言ったら意味が無い!
繰り返しになりますが、日本は「外国人が働きたい国」で33カ国中32位。
どうすんのコレ?
私たちは、この事実と真剣に向き合わなければならないのです。
日本は魅力的な就職先ではない!?
「日本は給料が高いから外国人来たがるでしょ?」
そういった意見をよく聞きますが、それは少々驕った(おごった)考えです。
日本は、確かについ数年前までは外国人にとって経済的にも魅力的な就職先でした。
しかし…。
今はもう目も当てられない状況になっています。
( OECD経済協力開発機構 各国正社員給与水準, 2019年11月時点)
要するに、日本の給与はもう高くないのです。
さらに…。
お隣の中国も高齢化社会へと突入しますが、その総人口は日本の比ではありません。そのため、海外からの単純労働者はアジア規模で取り合いになります。
そんな中、給与が高いわけでもない日本を外国人が選ぶとは限らない。
外国人必要なのに…
日本は、確かに『安全』や『サービス』の面では他のアジア諸国より断然優れているでしょう。そして、それが日本で暮らすことや働くメリットだとも言えます。
しかし…。
前述のランキングの結果を見ると、それすらもあまり意味をなしていないようです。
ランキングの調査対象である国々を見ると、「外国人が働きたい国」の15位に香港、16位にマレーシア、18位にインド、22位にタイ、24位にフィリピン、26位に中国がラインクインしている。
…え?
そうです。
日本は香港、マレーシア、インド、タイ、フィリピン、中国よりもランクが下!!
繰り返しになりますが、日本はほぼ最下位。
アジア圏の諸外国は総じて日本より安全性が低く、日本と比べれば住みづらい環境だとも言えるでしょう。
それなのに、日本は外国人が働きたい国の33ヵ国中32位なのです。
…さすがにヤバイ
これは、裏を返せば外国人が『日本に住むこと』には魅力を感じていても、それをはるかに凌駕するほど「日本で働きたくない!」と強く感じている…と言えるでしょう。
外国人が日本で働きたくない理由
今回の調査結果で日本が低ランクに終わった原因は、単純に日本の働きづらさ。
日本はまだまだブラック企業が多くのさばり、長時間労働が当たり前の国です。
残業たっくさん
働き方改革の流れで「残業が減った!」「ウチはちゃんとノー残業デーを実施している!」などと聞きますが、その裏では持ち帰り残業などで相殺されているケースは多々あります。
また、日本人ですら苦労する日本の働き方は、外国人にとってなおさら順応が難しい。
- 長時間労働や年功序列の賃金体系
- 先輩後輩や『社歴』などの上下関係と人間関係
- 職場の同調圧力や暗黙のルール
わたくしコダモンは以前日本の大手上場企業に勤めていたことがあります。
その会社はゴリゴリの日本企業で、残業などは当たり前。いつしか会社に行くのが憂鬱になり、勤めていた4年半は辛い日々と忍耐の連続でした。
そんで辞めた
日本の職場には、仕事とはまた別のストレス要因がたくさんあります。
そのストレスのヤバさと言えば、当の日本人でさえ疲弊してしまうほど。
それに加えて日本はまだまだ英語が浸透していないし、日本人は外国人にあまり慣れ親しんでいない。海外からの就業者にとっては日常生活のコミュニケーションが難しいのもマイナスです。
外国人労働者を「どのように受け入れるか?」…そんな議論を日本がするのは勝手なのですが、外国人が日本に来たがっている前提で話を進めるには要注意。
むしろ、外国人は日本を理想的な就職先とは考えていないかもしれません。
ワークライフバランスが無い日本
ドイツ企業で営業としてサラリーマンをしていますが、ドイツ人からすれば日本の働き方は異常です。
ドイツ人の同僚は「日本人て何であんなに残業するの?」「そんなに会社好きなの?」などと皮肉まじりに聞いてきます。
やれやれ…
ストレス大国ニッポンの働き方は、海外でも有名です。
国が変われば文化や習慣も変わるため一概には言えませんが、少なくとも実際の経験から日本で働くのは大変!と断言できます。
休日返上でゴルフに付き合ったり、行きたくもない飲み会に駆り出されたり。
そのような働き方は海外勢からはなかなか理解されません。
海外には先輩後輩の上下関係や社歴などの概念が薄く、職場では基本的に『個』が尊重されます。そのため、社員を仕事以外の目的で会社に束縛することはできず「上司の命令だ!」「先輩の誘いだ!」などの理由で外国人を納得させるのは至難の業(わざ)です。
そして、欧米諸国を筆頭に海外は基本的に成果主義です。
そのため、多くの海外企業では結果さえ出せていれば『その働き方は比較的自由』です。
過程よりも結果重視
そのため、日本の職場にありがちな「新人は上司よりも早く出社しろ!」「雑用も大事な仕事!」などの不効率な職場の慣行は外国人に理解されません。仕事の成果と何の関連性もないからですね。
日本はガチガチのルールと仕組みで組織をまとめるのが得意ですが、それは外国人にとってはストレスでしかない。
日本の職場にありがちな同調圧力などは、個人主義の外国人に一蹴されるでしょう。
各々の成果にしか興味がないので、他人の足を引っ張るような仕組みや慣例は言語道断。
外国人は基本的に「仕事は仕事」とドライに割り切って働くため、仕事を効率良くこなす事だけを考えています。他人がどうこうでは無く自分優先で、仕事が終わったらさっさと帰る。
そのような外国人はワークライフバランスをとても重視しますが、その実践が難しいのが日本の職場です。
今回のランキングは様々な項目から成り立っていて、日本は総合的にほぼ最下位なのですが、こと『ワークライフバランス』に関して言えばもちろんビリ。
日本のワークライフバランスは33ヵ国の最下位という結果です。
ズタボロ
外国人が「日本で働きたくない!」と言う原因は山ほどある。
「日本は別に賃金が高くないし…」
「長時間労働が当たり前だし…」
「ワークライフバランスが無いし…」
海外勢は、日本で働くことにメリットを見出せないのです。
日本を「外国人が働きたい国」にするには?
冒頭のラインキングの中には、次のような決定的な一文がありました:
日本のランキングが著しく低いのは、(中略) 全ての項目において評価低いことが原因である。具体的に言うと、賃金については最下位、ワークライフバランスについても最下位、子どもの教育環境についても最下位であった。
これって、外国人にとっても日本人にとっても嬉しくない環境ですよね。
海外からすれば、日本は総合的に見て魅力の無い働きづらい国。
この現実は、残念ながら受け入れるしかない。
だって事実
日本は外国人の受け入れに本腰を入れる姿勢を見せていて、東南アジアからの単純労働者などをメインに移民を率先して受け入れようとしています。
しかし…。
今回の調査結果によれば、日本はフィリピンやベトナムなどよりも魅力が無い国だと見られている。
どれだけ日本が移民政策を頑張っても、海外勢が「日本で働くのムリ!」と考えてしまっては焼け石に水です。
このような状況を変えるには、日本で働く人の意識を変えていく必要があります。
お互いに歩み寄ろう
もちろん、給与水準の見直しや福利厚生の拡充なども必要です。
しかし、それ以上に…。
日本は『ストレス大国ニッポン』の働く現場を改善しなければならないのです。
- 日本特有の古い職場慣行の撤廃と仕事の効率化
- 長時間労働の削減
- 年功序列から成果主義への移行
これからの日本社会は今まで以上に外国人を必要とする。この流れはもう不可避です。
直視すべき事実
外国人がご近所さんになったり、同僚になったり。
これまでは特定の業種・業界や地域だけが対象だったかもしれないけれど、これからは全ての分野や地域で外国人と日常的に関わる機会が増えます。
「外国人何考えてるかわからない!」「コワい!」などと頭ごなしに決めつけずに、積極的に関わってみることが大切です。
初見の日本人と友達になる時と同様で、外国人が相手であっても共通の趣味や話題を見つけたりして『見えない壁』を取っ払うこと。
多様性に富む外国人を受け入れて、日本人から積極的に歩み寄ることで相乗効果的に「働きやすい環境」が生まれるでしょう。
柔軟にいこう
外国人との交流や協働が当たり前の世の中になれば、職場に外国人がいることも当たり前となる。
結果的に、日本人の働き方も変わらざるを得なくなるでしょう。
外国人が日本の職場で普通に働けるようになった時が、日本が『ストレス大国』の汚名を返上できる時なのです。
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