コダモンです。(@kodamon)
ドイツで働く人にとって『在宅勤務』は身近なものです。
新型コロナウィルスの影響によってリモートワーク自体増えていますが、それ以前から比較的多くの会社員が在宅勤務をしています。
かれこれ3年以上ドイツで会社員をしていますが、在宅勤務いわゆるホームオフィスをしやすい環境にあります。
働きやすい
ドイツの在宅勤務事情は、一体どのようなものなのでしょうか?
ドイツ全体の4割で在宅勤務が可能!
ドイツでは、全体のおよそ4割の企業が『在宅勤務の選択』を可能にしています。
参照元のStatistaというサイトは次のような数字を公開しています:
- 39%: 在宅勤務が選択可能な企業の割合
- 15%: 在宅勤務が明記されている求人票の割合
(Statista,Statistiken zum Homeoffice,2020年7月時点,訳:コダモン)
この数字は2019年までに行われた調査を元にしているため、新型コロナウィルスによる環境変化以前の数字という事になります。
ドイツでは、平時から全体の4割の企業において在宅勤務をする事が可能なのです。
リモートワークは珍しくない
さらに、対象企業の54%が従業員に対して「技術的に在宅勤務をさせる事が可能である」と回答したそうです。これは、ビデオ会議ツールや勤怠管理、情報漏洩対策などがリモートワーク用に実装されているという事。
要するに、ドイツでは企業のおよそ半数が在宅勤務を想定して運営されているのです。
在宅勤務はとても身近
この記事を書いている時点では、新型コロナウィルスの影響と働き方の変化により在宅勤務をしている会社員の数はさらに増えているでしょう。
ドイツにおける在宅勤務の位置付け
ドイツでは一般的に『ホームオフィス』と呼ばれる在宅勤務ですが、働く人にとってはステータスの一部という理解があります。
ある意味『特権』
在宅勤務自体は広く一般的に浸透している制度ですが、実は誰でもその権利を行使できるわけではありません。在宅勤務の制度のある会社であっても、社員全員が実行できるとは限らないのです。
ドイツにおけるホームオフィスは、基本的に契約として勝ち取る必要があります。
例えば、求人票にホームオフィスの選択肢が明記されているケースもあれば、人によっては企業との面接時に直接交渉でオプションとして契約に盛り込んでもらえるケースもある。
在宅勤務は契約の一部
コロナ禍の現在(2020年7月時点)でこそ在宅勤務は増加していますが、それは暫定的な対策という位置付けであり、持続可能で定期的な在宅勤務を保証するものではありません。
そのため、ドイツにおけるホームオフィスの位置付けは就職や転職、昇進の際の交渉材料であると同時に『高待遇』の指標なのです。
あくまで参考程度に、ドイツの求人票の例です:
- 募集職種: アカウント/コンテンツマネージャ (ホームオフィス)
- 待遇など: ドイツ全土でホームオフィス可能。フルタイムでも可。
- 勤務地: ホームオフィス
これは以前目にした某大手通販企業の求人です。募集要項の中でも、在宅勤務の選択肢がかなり前面に出されていますね。
ドイツ人は、通勤時間の短縮や家事・育児などの観点から在宅勤務を非常に好みます。ワークライフバランスを重視するお国柄にもマッチしていると言えるでしょう。
企業の方針や職種にもよりますが、一般的に「在宅勤務ができる」というのはある種社会的なステータスであり、人によっては転職すら視野に入れるほど魅力的な選択肢なのです。
ホームオフィスは人気
在宅勤務に合意した場合でも、契約書には「特別な要件を満たす必要がある場合、従業員は別の場所でも仕事を行うこと」などの文言が追加される場合が多く、ある程度は会社への出社が必要です。
それでも、基本的に正々堂々と在宅勤務をする”権利”があるのです。
ドイツで在宅勤務をしている人
実際にドイツで働いていますが、フルタイムで在宅勤務をする人は珍しいです。
自分は営業職ですが、同僚の中には「週1〜2日ホームオフィス可」というベースで働いている人がいます。
欧米は契約社会
また、以前の職場でドイツ駐在員をしていた時、ローカル勤務のドイツ人セールスマネージャーが頻繁に在宅勤務をしていました。
その彼は、職場から片道150km以上も離れた場所に住んでいたので、入社時から「基本的にホームオフィス勤務」という合意があり、実際にオフィスに出社するのは週1回ほどでした。
日本的に言えば「在宅勤務、直行直帰」という働き方。当時実際に一緒のチームで働いていましたが、とりわけ大きな不都合はありませんでした。
仕事はちゃんとまわる
ちなみに、ドイツでは転職を通してホームオフィスの選択肢を勝ち取る人が多いです。
ホワイトカラー向けの待遇として、在宅勤務は『プライベート兼用の社用車貸与』などと並んで人気です。
在宅勤務は『お得』なのか?
これまで述べたように、ドイツ人にとって在宅勤務は一種のステータスです。
基本的にはその権利を勝ち取る必要があり、面接や昇進の際に交渉できる『企業に必要な人材』である事が大前提。
企業側も人を見るため、信頼性や自己管理能力などが問われるのは言うまでもありません。
高待遇のあかし
働く人によって理由は様々ですが、ドイツで在宅勤務が好まれるのは次のような理由です:
- 通勤時間を短縮でき『余暇の時間』が増える
- 家事や子供の送迎などを隙間時間に実行できる
- 比較的柔軟に仕事のペース配分ができ自由度が増す
在宅勤務が可能になれば、働き方の選択肢が増えると言えます。
家庭事情や体調との相談で適宜に自宅から働く事 – この選択肢が『ある』と『ない』とではえらい違い。
業務以外の日常生活においても在宅勤務は大きなアドバンテージなのです。
心の余裕にもつながる
ドイツの会社員はワークライフバランスをとても重要視するため、在宅勤務によって家族と過ごせる時間が増えるというのも魅力的なのでしょう。
いかがだったでしょうか?
ドイツではコロナウィルスの影響が出る以前からホームオフィスが多く行われていましたが、今回のパンデミックにより『労働者の在宅勤務の権利』を法律で拡充する動きもあります。
日本では働き方改革が叫ばれて久しいですが、ドイツ同様コロナ禍によって必然的に働き方が見直されるでしょう。
厚生労働省や総務省がテレワークのガイドラインを作成するなど、テレワークの導入に慎重だった日本企業に対しても一定の後押しがあり、アフターコロナに向けた働き方改革に少しだけ期待が持てそうです。
非常にゆっくりではありますが、働きやすい環境の実現へ一歩ずつ前進しています。
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