週休3日制をやろうとする海外|休みづらい日本

woman_working_laptop 日本と海外の働き方
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コダモンです。(@kodamon)


会社員であれば、誰もが憧れる週休3日の制度


毎週4日間だけ働いて、残りの3日を副業や趣味に費やすことができるのは魅力的です。


仮に自営業で成功すれば休みなんて取り放題ですが、企業勤めの場合ほとんどの人が週休2日制のもとで働いています。

コダモン
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休みは限られてる


そんな今回は日本と海外の週休事情について掘り下げていこうと思います。

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「週休2日」ですらハードルが高い日本

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みなさんもご存知の通り、現在の世の中では週休2日制が広く浸透しています。

日本で「何らかの週休2日制」を採用している企業の割合は令和4年時点で83.5%でした。

(厚生労働省統計一覧, 週休制, 2023年3月時点)


これは、裏を返せば企業勤めのおよそ5人に1人が「週休2日以下」の環境で働いているという事になります。


8割以上の企業では「何らかの週休2日制」を採用していますが、実際に毎週必ず2日間休めるかどうかは別の話。


実は、「週休2日制」と「完全週休2日制」には大きな違いがあります。


「完全週休2日制」を実施している企業はたった48.7%です。

 

コダモン
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どういうこと?

 

これがどういう事かと言うと…。


休日日数が「完全週休2日制」より実質的に少ない制度を採用している企業が半分を占めているのです。


「週休2日制」と「完全週休2日制」の違いはとても大きく、1ヶ月の間に1度でも2日休みの週があれば、それはもう「週休2日」です。


要するに、例えばある月の1周目に2日間休みがあって、残りの3週が全て週1日の休みであったとしても、それは「週休2日制」と言えるのです。


「毎週土・日休み」というのは「完全週休二日制」の場合のみ確定している、という事。

 

コダモン
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…知らなかった


世の中の企業勤めの人の中には週2日すら休めていない人も多いのです。


そもそも「完全週休2日制」すら実施されていない企業も多い、日本。


週休3日の議論どころか、「まずは週2日しっかり休みたい…!」と切に願う人は多いでしょう。

完全週休2日制が当たり前なドイツ


そんな日本の状況ですが、例えばドイツでは「完全週休2日制」は当たり前。

ドイツでは1週間の労働時間が40時間と定められており、週5日勤務が採用されています。また「1日の労働時間は基本的に8時間を超えてはならない」との規定もあり、仮に残業する場合も1日の労働時間が10時間を超えてはいけません。

 

ドイツ人の労働者の間には「休むときはしっかり休む」という考え方が根強くあり、それが働く現場でもしっかり実践されています。

労働時間法という法律のおかげで、長時間労働も(ほぼ)ありません。

 

  1. 6ヶ月間の1日平均労働時間が8時間を超えてはならない
  2. 残業は基本的にNG
  3. 有給休暇は年間平均およそ28.5日をほぼ100%消化



このように、ドイツには仕事以外の時間を確保しやすい環境があります。

実際にかれこれ5年以上ドイツ企業でサラリーマンをしていますが、ドイツ人は余暇の時間をとても大切にします


1年に2回も3回も長期休暇に出かける人もいれば、金曜日の15時にさっさと帰宅する人もいる。

 

コダモン
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うらやま


ワークライフバランスを大切にするドイツでは「完全週休2日制」がデフォルトです。

 

イギリスが試験的に導入した週休3日制

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そんな中、イギリスでは「週休3日制」を試験的に導入する大規模な調査が行われました。

この調査は2022年6〜12月に金融・保険、広告や建設など61の企業・団体が実際に週休3日制を試行し、およそ2900人を対象に行われました。

(Reuters, Four-day week liked by UK employers in world’s largest trial, 2023年2月時点)


結果は上々だった模様で、休日が増えても業績に影響しないことが明らかになりました。


参加した企業・団体によると、「週休3日制」を続けるにあたり生産性を落とさないために会議の頻度を減らしたり、従業員が仕事に専念できる時間を設けたのだとか。

 

コダモン
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すばらしい


参加した企業・団体も今回の実験を通して信頼できるデータを得られたようで…。


なんと、実に9割超えに当たる56社が今後も週休3日制を続けるという考えを示したそうです。


では、具体的にどのようなメリットがあったのでしょうか?

週休3日制のメリットとデメリット

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まず大前提として、今回の実験では「週休3日制」でも支払われる給与は減らしませんでした


単純に給与はそのままで労働時間が毎週1日分減るということ。


コダモン
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めっちゃ良い

 

そして、ここからがポイント。


なんと、週休3日制を今回試験的に導入した企業・団体のうちデータを提供した23社では収益が平均1.4%増えたのです。


要するに、社員の給料はそのままで週4日間だけ働かせたのに、収益性は悪化するどころか逆に良くなりました。


それほど、社員が限られた時間内で効率良く働いたということですね。


参加した多くの企業が今後も継続して週休3日制を採用すると決めたのも、うなずけます。


今回参加した61社のうち56社は試験的導入が終わった後も継続して週休3日制を採用するつもりだとし、そのうち18社は恒久的な制度にする考えを示しました。

(npr, Dozens of U.K. companies will keep the 4-day workweek after a pilot program ends, 2023年2月時点)


また、週休3日制は企業への貢献に加えて、社員一人一人の生活の質を向上させたようです。


参加者のアンケートによると、今回の実験を通してワークライフバランスが改善されたとの回答が多く見られました:

  1. 「ストレスが減った」(39%)
  2. 「睡眠の質が向上した」(40%)
  3. 「仕事とプライベートの両立が容易になった」(54%)

(The guardian, Four-day week: ‘major breakthrough’ as most UK firms in trial extend changes, 2023年2月時点)

 

このように、週休3日制のメリットは一目瞭然。


今回は試験的な導入でしたが、実際に働いてみた従業員達は「もう週休2日に戻れない」と感じたのではないでしょうか。

 

週休3日制により自分がやりたい事ができる日が1日増えるというのは、人生単位で見ても明らかなメリット。仕事以外に「人生で本当にやりたいこと」を見つけ、より質の高い生活を送れるようになります。

 

最後に、週休3日制のデメリットですが…。


週休3日の制度にはついては様々な議論があり、企業側の方針や場合によっては給与が減ります


働く日数が1日減る事に併せて給与も減らすパターンです。日本では、実際にそのような形式で『選択式』として導入している大手企業もあるそうです。


今回イギリスで試行された実験の場合は、企業・団体が社員の給与を下げませんでした。結果として得られたポジティブなフィードバックは、そこによる部分も大きいでしょう。

 

日本で週休3日は受け入れられるか?

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そもそも、なぜ我々は週5日勤務を基本として働いているのでしょうか?


この問いに対して、おそらくほとんどの人が「これまでもそうだったから」としか答えられないのではないでしょうか。


コダモン
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伝統、みたいな



国が変われば人々の考え方も変わり、企業風土や文化も変わるため確かに一概には言えません。


今回イギリスで試験的に行われた実験結果は、あくまでもイギリスの場合であって日本では通用しないと思っている人も多いでしょう。


ちなみに日本では、2021年以降に「週休3日制」がたびたび議論されるようになりました。


その発端は日本政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」に「週休3日制」が初めて盛り込まれたことです。

 

「選択的週休3日制度については、子育て、介護等での活用、地方兼業での活用が考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促進し、普及を図る。」

(内閣府, 経済財政運営と改革の基本方針2022について, 2023年2月時点)

 

しかしながら、とある調査結果によると「給与が減るなら週休3日制を利用したくない」と答えた人が8割を超えたそうです。

 

コダモン
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まあ…そうなるか

 

週休3日制の利用意向として勤務日数が減っても給料が変わらない場合は「利用したい」「どちらかと言えば利用したい」がおよそ8割でした。

(マイナビ, 週休3日制の意識調査, 2023年2月時点)


また、同調査では「今の職場で週休3日制が不可能と考える理由」として次のような回答があったようです:

  1. 「関係会社が働いている以上休めないから」
  2. 「収益の落ち込みをカバーするのが困難」
  3. 「業務量が多いのでできない」
  4. 「仕事をする日にしわ寄せが来そう」



日本は「完全週休2日制」を採用している企業ですら全体のたったの4割。ただでさえ、満足に毎週2日休めない人も大勢います。


そして、職場の多くにはいまだに長時間労働サービス残業が蔓延している。


コロナ禍を通して働き方は変わりましたが、慢性的な人手不足少子高齢化が今後も日本の労働環境に悪影響を及すでしょう。


総括して仕事を休みづらいというのが、今も昔も変わらない日本の現状です。


企業側が週休3日制を採用する際にも、この問題が大きな壁になります。

 

コダモン
コダモン

なかなか難しい


では、日本で週休3日制が受け入れられるようにするにはどうすれば良いのでしょうか?


まず、日本人は良くも悪くも集団主義なので、仮に週休3日制を取り入れるのであれば必ず業界全体で取り組む必要があります


「取引先が働いているから休めない」などの懸念は、その業界全体で週休3日が採用されればある程度は解消されるでしょう。

 

コダモン
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それがベスト


また、週休3日制で働くことにより育児や介護との両立がしやすくなるというのも重要なポイント。週休3日制を望む労働者に対して、周りから十分な理解が得られるのではないでしょうか。


いずれにせよ、日本は働く環境からテコ入れをしなければ週休3日制などは夢のまた夢。


日本で週休3日が広く普及するのは、まだまだ先の話になりそうです。

 

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