日本人ですら辛い日本の職場|外国人が日本で働くのが大変な理由

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コダモンです。(@kodamon)

外国人が、日本で働くのが辛い」と言う理由。

日本の職場の『長時間労働』は、その上位に食い込んできます。

日本国際化推進協会は2015年に、外国人819人を対象に日本の労働環境についてアンケートを実施した。その調査によると、日本で働きたくない理由として1番に挙げられたのが「長時間労働」だ。

(東洋経済オンライン,なぜ日本には外国人が殺到しないのか,2020年4月時点)


しかし…長時間労働は、外国人が日本で働きづらい『理由の一つ』にすぎません。

コダモン
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他にもたくさん理由ある


「なぜ日本には外国人労働者が殺到しないのか」

今回は、それを見ていきます。

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日本に外国人労働者が殺到しない原因


そもそも、日本はもう外国人にとって魅力的な就職先ではありません。


日本は世界一安全で清潔で、とても住みやすい国なのに。

コダモン
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日本大好き


それなのに、実は外国人は日本で働きたくない!」そう思っているのです。

厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、平成27年10月末時点での外国人労働者数は日本全国で約91万人。

届出義務化以来、過去最高を更新したそうです。

国籍別では中国が最も多く、外国人労働者全体の35.5%。次いでベトナム、フィリピンと続き、アジアの国々が大半を占めています。


ちなみに、法務省の統計(2019年6月時点)によると、日本で暮らす外国人の数はおよそ282万人で日本の人口のおよそ2.0%です

この数字、パッと見て『多い』と感じますか? それとも少なく感じるでしょうか。

コダモン
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どうでしょう


ちなみに、参考程度に同じ数字をドイツと比べて見ましょう。

コダモンのもう一つの母国でもあるドイツ。そこではなんと…。

総人口の約12,2%が外国人です。

統計によると、2018年時点にドイツで暮らしていた外国人の数はおよそ1,092万人。移民を含め外国人労働者を積極的に受け入れています。

(statista,Statistiken zum Thema Ausländer,2020年4月時点)


日本とは桁違いの割合。10倍以上の差です。

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日本の外国人は少ない?


ドイツと比べてみても、日本に外国人労働者が殺到していないことがわかる。

EU加盟国のドイツと日本は単純比較はできませんが、それでも同じ先進国としての違いは大きい。

外国人が日本に殺到しない原因には、次のようなものが考えられます。

外国人には難しい日本の労働事情


以前4年半ほど勤めていた日本の大手企業は、一応『グローバル企業』でした。でも、その中身はとてもお粗末。

英語が話せない上司はたくさんいたし、海外拠点との社内のやり取りでさえスムーズにいかない。

コダモン
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ダメだこりゃ


そして何より、社内の外国人に対する扱いがとっても残念でした。

伝統のある古い会社だったので、ゴリゴリの『日本式』を外国人にわからせようと上司たちは必死でした。

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そんで失敗してた


例えば、日本の会社にありがちな「始業時間厳守!」という規則。

日本人はみんな残業している。それなのに、「始業時間前に必ず席にいろ!」なんて言ったって、欧米人をはじめ外国人にはなかなか理解されません。

働き方ヒント!

日本人上司が外国人の部下に「遅刻するな!」「始業時間は守れ!」と説教した後にケンカになる現場を実際に見ました。就業規則で労働時間が定められているのは当然ですが、残業が蔓延している職場で「職場の決まりだ!」と言って始業時間厳守を説いても、海外勢にはなかなか理解されません。


日本人は集団行動が大好きで、職場には何かしらの『同調圧力』があります。

「みんなが残業してるから」「みんな有給休暇を取らないから」そのような意味不明な理由で周りに合わせることが求められる。

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効率は無視


それが外国人には理解されないし、個人主義の海外勢にとってはわずらわしいものでしかない。

「みんなで頑張ろう!」「みんなで耐えよう!」そのような日本の職場の『自己犠牲の精神』はチームワークではなく、ただの足の引っ張り合い。

日本人でさえ疑問に感じる職場のルールや慣行は、外国人にとっては働きづらい環境です。

日本独特な職場の慣行とシステム


年功序列の賃金体系は、今でも多くの日本企業で採用されています。

「年功序列賃金」についての統一的な定義はありませんが、一般的に企業における勤続年数や労働者の年齢の上昇に従って、賃金(基本給)も上昇する仕組みであると考えられます。

(厚生労働省,賃金,2020年4月時点)


新卒入社からコツコツと同じ会社で勤続年数を伸ばし、エスカレーター式に昇給や昇進の恩恵に授かるシステム。それが年功序列。

以前働いていた職場には、社歴が長いだけで「自分は偉い!」と勘違いするダメ上司がけっこういました。

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残念な上司


このような組織の仕組みは、日本の会社でしか通用しません。

成果主義で鍛えられてきた外国人からすれば、「何でこんな無能な人が偉そうにしてんの?」となります。

海外企業では社員1人ひとりの能力・成果次第で待遇や昇進が決まります。先輩後輩の関係も無く、上司が年下であるケースもある。日本企業の年功序列のシステムを押し付けるのではなく、外国人には明確なキャリアパスを提示する必要があるでしょう。


そして、日本はまだまだ『外国人慣れ』していないので、職場で外国人が浮いてしまうケースも多々あります。

コダモン
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仲間はずれ?


「なんとなく壁がある」という簡単なものから、いじめ、差別、嫌がらせやパワハラまで。外国人に対する扱いが露骨に違う職場もあります。

また、英語など外国語でのコミュニケーションが難しい場合もある。

公用語の英語が苦手な日本人は多く、外国人に対して「本音で話せない」「意思疎通ができない」という基本的なギャップが生まれてしまいます。

ちなみにですが…。ドイツの職場は外国人だらけ。

かれこれ10年以上ドイツで暮らしていますが、医者や弁護士、大学教授などから『清掃のおばちゃん』まで、色々な分野・業種に外国人がいます。

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多国籍で多文化


そのため、外国人との間にある文化や宗教・思想の違いを無視するような職場は存続できないのです。

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日本の職場で理解されない外国人の働き方

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以前、実際に日本でサラリーマンを4年半ほどやってみました。

しかし…。海外生活が長かったドイツハーフはストレスで押しつぶされそうになった。


その日本企業がお腹いっぱいになってドイツ企業に転職したのですが、ドイツの働き方を経験したら…もう日系企業には戻れない。

コダモン
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それほど違う


ドイツではほぼ毎日定時に帰宅しているし、休日出勤なんて一度もしたことがない。

同じ業界で営業として転職したのに…。日本で経験したストレスまみれの働き方とは大違いです。

  1. 残業や持ち帰り残業、休日出勤などの長時間労働
  2. 先輩後輩の上下関係と仕事後の『半ば強制』の付き合い
  3. 有給休暇すら自由に取れない


このような働き方は、ドイツでは受け入れられない。

ドイツ人は他人のことなど一切気にせずに、個人の判断で仕事よりもプライベートを優先します。

ワークライフバランスをとても大事にするので、仕事が終わればみんなさっさと帰る。

欧米企業は成果主義で、個人の裁量が大きいです。仕事を適宜にこなして結果を出していれば、その『働き方』に対しては誰も文句を言わない。お互いの足を引っ張るような同調圧力は海外の職場に無く、社員1人ひとりが効率良く仕事をして業務を最適化させます。


このような理由からも、日本の職場にありがちな、「ルールだから」「みんなやってるから」などという意味不明な理由で外国人を職場につなぎとめることはできません。

コダモン
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集団行動は通用しない?


日本人は、「上司の命令だから」と言ってムダ会議に参加したり、「上司が残業しているから」と言って残業する。

そんな中、効率良く仕事をしたい外国人は、そのような日本の働き方に付き合う気がさらさらない。

そうすると…。仕事を終えた外国人が定時に帰ると「コイツまたか」「仕事ねぇのか?」みたいな冷ややかな目で見る人が職場に出てくる。

欧米諸国では残業は『悪』です。職務内容がJD(職務記述書)に明確化されている海外では、仕事は就業時間内にこなせて当たり前。残業ばかりしている社員は「頑張っている」などとは思われず、逆に『仕事ができない人』のレッテルを貼られます。


外国人が、海外では当たり前の『プライベートを充実させる働き方』を日本の職場で実行しようとしても、なかなか理解されないのです。

外国人労働者が日本で直面する問題


日本は将来的にどんどん外国人に依存する事になります。

日本の外国人依存度は、全国で「112人に1人」(2009年)から「46人に1人」と急激に増えており、日本の将来と労働市場はもはや外国人なしには語れません。

(日本経済新聞,『外国人依存度、業種・都道府県ランキング』,2020年4月)


介護業界などは、そもそも人が集まらないのに少子高齢化で拍車がかかりジリ貧になる。外国人依存は必須です。

コダモン
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圧倒的な人手不足


日本人がやろうとしない『単純労働』は、もう既にたくさんの外国人労働者によって補われています。漁業や農業などもそう。

それなのに…。外国人労働者はそもそも日本に来てくれないかもしれない。

冒頭で説明した『長時間労働』などは1番わかりやすい原因ですが、実は日本の給与水準も…諸外国と比べて決して高くはないのです。


ストレス大国の異名を持つ日本の職場に『あえて』参入しようとする外国人は、なかなかいません。

コダモン
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日本人でさえ辛い…


ゴリゴリの日系企業で営業をしていた当時を振り返っても、海外からすればありえない働き方はたくさんありました。

  1. 有給休暇の未取得を自慢して『頑張っているアピール』をする人
  2. 『ハンコの押し方』にこだわってスタンプラリーを繰り返す人
  3. 「上司の飲みの誘いを断るやつがいるか!」と憤慨する人


日本では”当たり前”のそれらの事は、外国人には理解できない。

コダモン
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ジョークの域


職場の古い慣行や先輩後輩の人間関係は、柔軟な思考を持つ世代にとっても苦痛。

人によっては日本人ですらストレスを感じる職場事情。「いわんや外国人においてをや」です。

このように書くと…。

「外人が日本に来てんだから、日本に合わせろ!

「つべこべ言うな!」

そのように考える人もいるでしょう。

でも、それだから日本にはグローバル人材が育たないし集まらないのです。

コダモン
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うん…


「外国人は日本に合わせろ!」などと言っている間は、外国人労働者を受け入れる体制はまったく整っていないでしょう。

外国人が日本で働きやすくなるには?


外国人に対する意識を、ほんのちょっとだけ変えてみましょう。

日本は安全で住みやすい、素晴らしい国です。外国人は『日本の社会人生活』に意義を見出したいと望んでいる。

外国人に日本人の習慣や『働く文化』を押し付けるのではなく、日々の業務の中で効率的に理解させること。

コダモン
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コミュニケーションが1番大事


日本式を貫き通すだけでは無く、外国人の出自を理解した上で、彼ら/彼女らの国の『スタンダード』にも一定の理解を示すこと。これが大事です。

要するに、双方の歩み寄りが必要だという事。

外国人のスタンダードを日本の『常識』に近づける事は可能です。ただし、そこには理にかなった説明が必須。

日本で働く外国人の多くは、「日本をよく知りたい!」と考えています。日本の働き方や文化を受け入れる準備ができているはずです。

コダモン
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わざわざ日本来てるし


大事なのは、『日本式』を問答無用で頭ごなしに押し付けてはダメだということ。

「みんな休まないのだから有給休暇を取るな!

「部長が残っているんだから帰るな!

「始業時間に絶対に遅刻するな!

そのような言葉を外国人に投げかけているうちは、コミュニケーションが取れていない証拠。

文化と言葉の壁を乗り越える事ができれば、お互いの『理解』へとつながるのです。

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