コダモンです。(@kodamon)
海外生活も、もうかれこれトータル15年ほどになります。
ドイツの大学に通い、日本の会社を辞めてからはドイツで転職して…もう長いこと日本で生活していない。最近の流行にもなかなかついていけません。
浦島太郎みたい
久しぶりに日本に帰ると「え? 何それ??」と思う事がしばしばある。『聞き慣れない言葉』にも敏感に反応してしまいます。
そんな中、ずーっと気になっているのが『コスパ』という言葉です。
「焼肉食べ放題と飲み放題で3,000円だって!」
「黒毛和牛とかも頼めるんだってさ」
「へぇーここコスパ最強じゃん!」
このような会話に登場する『コスパ』のこと。
この『コスパ』という単語。もしかしたら、あなたは間違った使い方をしているかもしれません。
「コスパ」の多用は恥ずかしい
コスパは、「コスト」と「パフォーマンス」という言葉を組み合わせた略語です。日本語になおせば「費用対効果」という意味になります。
支払った金額や投資額である『コスト』に対して、その結果として得られる効果や利益、成果の『パフォーマンス』の度合いを指します。
少ない金額や労力に対して得られるパフォーマンスが良好な状態を「コスパがいい!」などと言ったりする。
よく聞く
テレビやメディアでも頻繁に使われ、和製英語の座を確立させているようです。
そう。この『コスパ』という単語は完全に和製英語。
すなわち、例によって日本だけのガラパゴスなやつです。
「コスパ」の起源である「コストパフォーマンス」という言葉も、実はその使い方には注意が必要。
実際に英語で“cost performance“という使い方をしようとしても、恥ずかしい結果が待っているかもしれません。
マジで
「コストパフォーマンス」などという言い方は、海外では滅多にしないのです。そもそも、英語の日常会話で聞いた事がない。
「コスト」と「パフォーマンス」という2つの言葉の組み合わせは、英語圏では専門用語的な扱いになります。コストパフォーマンスインデックス(CPI)などがあるように、そもそも日常会話で使う言い回しではない。
あとは、“cost performance ratio“とかをビジネスシーンでたまに聞く程度。
あんまり使わない
あなたが日本語で会話する時にも『費用対効果』とか『費用対性能比』なんて単語は使いませんよね? それと同じことです。
その代わりに『コスパ』と言うわけですが…その語源がそもそもちょっとズレている。
カタカナだからそれっぽい雰囲気になってるだけですね。
外国人には伝わらない
いずれにせよ、『コスパ』は日本だけの現象です。
間違ったコスパの使い方: 「結婚はコスパが悪い!」
コスパという略語の出所が怪しいのに加えて、その使い方がおかしい人も多い。
シチュエーション次第では、間違った『コスパ』になっているようです。
本来の意味合いである『費用対効果』からズレた使い方。
例えばこんな記事の見出し:
「独身男性が『結婚はコスパが悪い!』と言う理由」
結婚をしない独身男性の中には、その理由を「結婚はコスパが悪い」と考える人がいるようなのですが…。
これってどういう意味なのでしょうか?
ここで使われるコスパの『コスト』の部分は、なんとなくわかります。収入に対する支出であり、結婚費用、新居、出産、育児、教育費…などなど。
ここまではOK
将来設計に対して概算の『コスト』は出ます。または、百歩譲って『自分の自由な時間』などもコストの部分に含むとしましょう。
でも…。
結婚に対して使われるコスパの『パフォーマンス』って何?
何よ?
「奥さんの収入」とか「 家事分担」でしょうか。それとも、「心の支え」や「家庭を持つ幸せ」とか…?
これらは定量的に示す事ができません。「結婚はコスパが悪い!」と言う人たちの基準は、千差万別という事になります。
コスパの解釈が変わる
この時点で既に『コスパ』の使い方はおかしい。
さらにもう少し突っ込んで言えば、ここでは結婚のパフォーマンスを『利点』と捉えている所がそもそもの間違い。
「結婚はコスパが悪い!」などと頭の悪い発言をする人は、「結婚してもメリットが少ない!」「結婚しない方が得だ!」と考えているのでしょう。
「結婚して自分のお金が減るなら結婚しない方がいい!
「自分の時間が無くなるなら結婚しない方がマシ!」
そんなものは個人の勝手で、好きにすればいい。
それでも、「結婚はコスパが悪い」という言い回しは大きな間違い。
なぜなら、結婚する事の『コスパの良し悪し』は自分のパフォーマンス次第でもあるからです。
何が言いたいかわかる?
要するに、結婚生活というのは夫婦お互いのパフォーマンスで成り立つもの。
自分の頑張り次第でパフォーマンスも向上するわけです。
それなのに、結婚する前から頭ごなしに「コスパが悪い!」などと言うのは大いに疑問。
独身の身でありながら「結婚はコスパが悪い!」などと言う人は、結婚生活において努力ができない、努力する自分が想像できない人でしょう。
悲しいねぇ
結婚をする・しないは各々の勝手。
でも、それを「コスパが悪い!」と言うのは大いに間違っています。
間違ったコスパの使い方: 「コスパの良い福袋に大満足!」
間違った使用例はまだまだあります。
例えばコレ:
「福袋を購入したら欲しかった物ばかりで、コスパ的にも大満足でした!」
ここで使われるコスパは、結果的に「大当たりでした!」「お買い得でした!」という言い方がしたいのでしょう。
しかし実際は、福袋は常にコスパが良いものです。
中身が売れ残り品であったり、在庫処分品など残念な商品が多いだけ。
欲しい物がないだけ
基本的には、購入金額以上の商品が(ほぼ)必ず入っているはずなのです。
そのため、福袋の『中身の良し悪し』は本来コスパとは無関係。
このように、よくよく考えると使い方がおかしいケースは多々あります。
それなのに…。我が物顔で、何かにつけてコスパを多用する人は大勢いる。
そもそもコスパは英語圏でほぼ使われていない言い回しなので、日本でも原型を失いつつあるのだと想像します。
さすが和製英語
使い方を間違えているどころか、アレンジが効き過ぎてちょっとイタイ。
「コスパ」で相手を不快にさせる
使い方次第では、相手を不快にさせているかもしれません。
以前、日本のオフィスでこのような会話を小耳にはさみました。
社員A: 「今度新しく雇う営業、どうやらバイリンガルらしいよ」
社員B:「もう10年以上この業界の第一線で経験を詰んできた人らしいね」
社員A:「なんか上層部の期待も高いらしい」
社員B:「でもその人、課長レベルの採用に落ち着いたんでしょ? ○○さんと同じくらいの待遇かな」
社員C:「へぇ~ウチの会社もコスパの良い奴見つけたもんだなぁ」
ここで使われているコスパの『コスト』が意味するのは課長級の給与。『パフォーマンス』の部分は、その人材の高い語学力やビジネス経験…といったところでしょうか。
要するに、「そんなレベルの高い人材をよくその程度の給料で採用できたね」という意味合いです。
…褒めてはいない
その人物からしてみれば、自分は「パフォーマンスは高いのにそれに見合う対価を得ていない人」と言われてしまっている事になります。
でも不思議なことに、社員同士の会話に登場する『コスパ』にはネガティブな意図が無い事がわかりますよね?
悪気はない
このように、ちょっと角度を変えて見るだけで相手を間接的にディスっているという事もわかります。
ビジネスシーンにおける『コスパの良い人』は、もはや誉め言葉ではありません。
ただでさえ繊細な『お金』や『個人の能力』というテーマに対して安易にコスパという言葉を使うと、知らずに相手を傷つけている可能性すらある。
むやみやたらとコスパという単語を連発する人ほど、気を付けましょう。
「コスパ」を多用する人は賢く見えない
いかがでしょうか?
あなたの日常会話にも登場する『コスパ』。思い当たるフシはありませんか?
わたくしコダモンは、そもそもコスパという和製英語を使わない方がいいと思います。
もともと英語圏でもほぼ使わない言い回し。そして、最近の日本ではコスパという単語だけが一人歩きしてしまいその本来の意味合いがズレているからです。
誰もが気付かないうちに、間違った『コスパ』を使っているかもしれません。
「金額の割には質の良い製品が買えた」
「高い料理の割には美味しくなかった」
このように、コスパを使わなくたって会話はできるし代用はいくらでもある。
「安くてお得」をコスパという単語一つで簡単に処理したい気持ちも理解できますが…使いどころを間違えると、会話の流れを無視する事になる。
そして、コスパの『パフォーマンス』が定義できていないまま使っているケースなどは、自分の思考が薄っぺらい事が相手に伝わります。
そうなる前に、使用を控えるべき。
使わないほうがいいかもよ
コスパという言葉のせいで、語彙力の乏しい『あまり賢くない人』の印象を相手に与えます。
個人的には、会話の中にやたらと「コスパコスパ」と連発する人は賢い印象を受けません。
「結婚はコスパが悪い!」などと発言して頭の弱い人のレッテルを貼られないように、是非気を付けましょう。
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