このブログを書くキッカケになったお話。全10話のシリーズ記事です。
海外経験豊かなハーフがゴリゴリの日系企業に就職してみた。
第4話です!
第1話から読む:
新入社員研修を終えて配属先へ!
およそ3週間の新入社員研修が終了。
中途採用で研修に参加していたコダモン。研修が続く同期たちとは対照的に、さっそく予定通り配属先へと向かいます。
その部署は、ざっくり言えばビジネスのグローバルサポートを行う部署。
会社の中でも比較的新しい部署で、仕事の内容は海外ビジネスの促進全般。
企業は既に海外進出しているけれど、ビジネスが進むにつれて『海外拠点とのコミュニケーション』とか『戦略立案』とかいう仕事をまとめなきゃいけない。
それをリードする部署
世界のマーケットとかトレンドもリサーチして、会社としてビジネスをどの方向にどうやって進めたらいいか? そんな事を考えるのも仕事の一つ。
けっこう重要な仕事なので、それ専用の部署が新しく作られたわけです。
その部署を機能させるにはまずグローバルな人材が必要で、会社は特に「ドイツ語しゃべれる人!」という募集をかけていてた。
そんで採用された
ドイツを中心に欧州ビジネスを促進させたい会社にとって、日本語も話せるハーフの自分はまさにうってつけの存在。
当時の募集には「将来的にドイツ駐在の可能性アリ」とも書いてあった。
これは…モチベーションあがる。
グローバルに活躍する仕事だし、ドイツ語が活かせるし。
当時の自分はルンルン気分でした。
期待に胸膨らましながら配属先へ行ってみると…。
まさかの展開が待っていたのです。
配属先の『グローバル部門』が微妙すぎた
まず結論から言うと、この『グローバルな部署』には3か月くらいしか所属しませんでした。
順を追ってお話します…。
配属初日。
面接時にもお世話になった部署のおエライさんに一通り挨拶したあと、関連性のあるお隣の部署や技術部などもまわり、いわゆる『挨拶まわり』をしました。
「ウチの会社にドイツハーフが入社したらしい」
そんな話は、既に社内に知れ渡っていた。
どこの誰と話しても、「あっ、君が例の? 」 「へー本当に日本語上手なんだねぇ」とか言われる。
「なるほどーウチにもこういう人が来るようになったかー」
とか言うオジサン社員もいて、喜んでいいのかどうか…反応に困る。
生い立ちとかを聞いてくる人もいた。 やっぱりハーフって珍しいのかな。
まぁでも、とりあえずみんな『良い人そう』。
…そうなのです。
みんな“人だけ”は良い!
これは、会社を辞めた今でも言えること。当時の会社に『悪い人』はいませんでした。
職場の人間関係は複雑です。パワハラ上司などは一発アウトですが、職場のマナーやルールを守ることを重視するあまりに残業なども『みんなで頑張る』という間違った集団意識が芽生えます。当事者の多くは「それが当たり前!」と考えて働き、知らないうちにいつしか同調圧力となっている場合があります。
会社はブラック企業じゃない。むしろ優良企業。
それでも、海外を経験してきた自分からすれば、その中身は衝撃でした。
まず、直属の上司。
セコさんという、上司になる予定だった人。
彼は英語がほとんど話せませんでした。
おっと…
その部署は、グローバルビジネスをサポートする部署です。世界中の拠点をつないで事業を進めるには、英語は必須。
それなのに…英語がとっても苦手 。
セコさんには申し訳ないけれど、これは致命的過ぎる。どう考えても。
ビジネスをサポートするも何も、日本語だけでどうやって海外オフィスとコミュニケーションを取るの?
本社機能が日本にある企業は、日本人同士のやり取りでビジネスが完結すると勘違いする傾向があります。海外駐在員ですら現地の事情や状況を理解/把握できていないことが多く、さらに日本語で情報共有をすることにより『自己満足』で終わるケースが多いです。
その部署は、部長以下6名で成り立っていました。
部長も比較的新しい人で、この部署は色んな意味で新体制。
外国人は2人。インド人と、ドイツ人。
そのドイツ人は、自分の加入で同郷が増えたのを喜んでました。まぁ、ハーフで日本生まれだから厳密には違うけど。
何はともあれ、外国人がいたのはいいけれど、問題は上司のセコさんです。
外国人の同僚とコミュニケーションすら取れない。
仕事の話じゃなくて、日常会話すらもダメ。
外国人の方が気を使って、カタコトの日本語でセコさんと話している始末。
ちょっとヤバい
そんな状況を見て、さすがに拍子抜けしていまいました。
これでは、どう頑張ったって『グローバル』には程遠い。
配属1日目は、なんとも言えない不安感で始まりました。
配属になったはいいけど仕事が無い!?
配属となって数日が経過してから、ビックリの事実を知らされました。
まず判明したのが、ドイツハーフの仕事が決まっていないこと。
…何で?
ラブコールを受けて入社したハズなのに。
どういう事だコレ。
面接の時に「君には期待している!」と太鼓判を押されて入社したはずで、それがこの会社に入るモチベーションの一つだった。
それなのに、いざ部署へ配属となってみたら仕事がなかったのです。
ドイツハーフを雇ってみたはいいものの、明確なタスクはない。
その部署は新設だった事もあり、そもそも全員まだ『手探り状態』だったのです。
インド人とか部長さんは出払っている事が多く、そもそもオフィスで見かけない。
部署の中でも連携プレーはほとんどなく、定例という名のチームミーティングも…あって無いようなもの。
直属の上司で“教育係“であるはずのセコさんも、どうやら手一杯の模様。
さぁどうする…
そんな状況の中、最初の数週間は『とりあえず○○』が続きました。
とりあえず何かの会議に連れて行かれたり。
とりあえず工場見学に行ってみたり。
「とりあえずコレやってみてくれ」と言われたり。
その部署はドイツハーフを『教育』しようとしてくれていたけれど、そもそも自分の仕事があやふやだから目的意識が芽生えない。
とりあえずやっている作業に、何の意味があるかもわからない。
部署の人が出払って、完全に1日フリーになってしまう日もありました。
社内ニート
完全に宙ぶらりん状態です。
誰の依頼をどの納期で、何の目的で自分がやらなければいけないのか? 全然わからない。
ドイツ人の同僚に色々質問したり、自分ができそうな仕事を探したけれど、それにも限界がある。
むむむ
本来ならば、自分は海外拠点とコミュニケーションを取りながら事業立案とか計画策定に関わる人。でも、そのためには具体的な『導入』がないと始まらない。
そんなフワっとした状況が2か月くらい続きました。
そして、その間に日本の会社のヤバい部分をちょっとだけ経験した。
会社の飲み会に四苦八苦
配属になってから、とりあえずいろんな『飲み会』に連れていかれました。
部署内の歓迎会の他にも、その周りの部署というか、上司の横のつながりみたいな飲み会にも駆り出された。
ハーフはネタになる
本来ならば喜ばしい事でしょう。お誘いを受けることは、もちろんありがたい事。
しかし…。
この時に経験した飲み会で、モチベーションがダダ下がり。
日本の会社の飲み会は、かなりのカルチャーショックでした。
- 定時後のプライベートな時間なのに『参加して当たり前』感がある
- オフの時間のはずなのに、飲みの席は会社の延長で仕事の話ばかり
- 先輩後輩の上下関係とかマナーが堅苦しい。面倒くさい
- ダラダラと2次会や3次回まで続いて時間のムダ
新入社員研修の時とは違い、当時の職場と周りの部署はオッサンだらけ。
古臭い思考の持ち主が多くて、みんな変な『しきたり』にこだわります。
目上の人にお酌する。
下っ端が店員さん呼んで注文取る。
取り皿に料理を分ける。
焼き鳥は串からほぐす…。
…何コレ。
何が悲しくて、定時の後にこんな事しなければいけないのか。
「それが日本の社会人だ!」「新入りなんだから当然だ!」そのような意見もあるだろうけど、マンガみたいな展開でひきました。
オッサン社員の道楽に付き合わされる事もあり、『ハーフが飲みの席でどう対応するか?』…と試されてるのがビンビン伝わってくる。
「あれ、お酒ついでくれないの?」みたいな人もいた。
きしょいんだよ! (ゴルァ!)
日本の会社の飲み会は『チームビルディング』とか『上司と打ち解ける場所』とからしいけど、なくとも自分が当時経験した飲み会はほとんどがとんだ茶番。
そんな事も経験しつつ、入社してから2か月あまりが経ったある日のこと。
職場での『宙ぶらりん状態』に、転機が訪れました。
偉い人が集まる会議でダメ出しされた
入社当時のコダモンは、『語学』と『海外経験』というスキルだけ突出していました。
しかし…仕事全般の基盤知識は欠けていました。
自覚あり
実際にビジネスを促進させるための実務経験が必要だったのです。
会社の方針として「お前のことは急がずに長い目線で育てていく」とも言われていました。
そんなある日…。
おエライサンが会議室に集まって、しきりに何か話し合っていました。そこには事業部長とか役員もいる。
自分が座っていた席からは、会議室に入って行く上司たちの姿が見えました。
しばらくすると、ドアが急に開いて…中にいた部長さんが、手をチョイチョイっとしてる。
「ちょっとこっち来てくれ」の合図です。
む……。
なんだろう?
隣にいた同僚のドイツ人も、それを見て「お前あそこに呼ばれるのか…」という顔つきをしてる。
一瞬緊張が走ります。
とりあえず、呼ばれるまま会議室に入ってみる。
そこでは、欧州ビジネスの戦略についての議論が行われていました。これまで使われていた製品を新しいフィールドで実用化できないか?…といった内容。
当時は、学びの一環で会議に参加させられる事もあったので、今回もどうせ『とりあえず座って聞くだけ』だと思っていました。
ちょこんと座ったハーフをよそに、偉い人達は「あーだこーだ」やっています。
「…とうわけで、欧州で拡販を目指すのはいいけれど、その事前準備は必須です」
「…で、そのためにコダモンみたいな人材がいるんでしょ?」
…え?
知らない人から、しかもおエライさんから急に名指しされてビクッ!となった。
ドイツハーフの存在は、入社当時から部署を通り越して関係各所へ伝わっていました。
こちらは意識していなくても、相手側に知られている。
そして、その会議では将来的に自分が請け負う仕事の話がされていたのです。
とうとうキタ?
配属になってから宙ぶらりん状態が続いていたけど、ようやく具体的な話が出てきた!
ワクワクしながら続きの展開を期待していると、みんなちょっと難しい顔になる。
会議室が一瞬「シーン…」となった後、こんな事を言う人がいました。
「でもねぇ…。彼、ウチの会社に入ってまだ2ヵ月とかでしょ?」
『彼』とはコダモンのこと。
そうですけど何か
指摘された内容と、その声のトーンにちょっと心配になる。
要するに、この人は「ウチの会社の仕組みと業務をロクに知らないで、何ができんの?」と言っているのです。
「どこの馬の骨だ?」みたいな。
当時の自分は、たしかに実務経験が足りていませんでした。
そして、その場にいた誰もがそれを理解していたのです。
営業や営業企画として事業をリード・計画するためには自社製品やサービスを熟知する必要があります。ましてや海外からとなると、事前に社内の関係部署と関係を構築しておくべきであり、それらは実際のビジネスを通して『働いてみる』ことでしか成立しません。
実際にビジネスに携わって取得できる経験。
海外の最前線で『会社の顔』として働くための経験が、ドイツハーフには欠けていた。
くやしいけど正論
海外経験と語学スキル“だけ“が突出していたけれど、「それじゃ使いものにならん!」と。
もっとカンタンに言えば、「社会人としての経験が足りない! 」と言われたわけです。
古い伝統を持つこの日系大手の会社では、下積みを経験してナンボという考えを持った人も多い。
どうなることやら…
入社してたった3ヶ月で転属になった!
その会議の後、上司たちと話し合いが行われました。
まず、そのビックリな結論から:
コダモンは営業部へ転属
営業部へ転属…!!
えええー!?
急展開過ぎる。
しかも、『国内の取引先』を相手にしている営業部。
グローバルに活躍しようと思ってたのに、日本の顧客と日本人相手に仕事をすることになる。らしい。
「将来海外から仕事をするためには、まず日本で仕事を学ぶこと!」
「社内の仕組みを一番早く体感できるのは、昔ながらの国内営業!」
そうやって一定期間日本で『修行』をしたら、いつかはドイツに行ってもらう…と。
納得…するしかない
これまで所属していた「グローバルビジネス」をサポートする部署では、実際に顧客を相手にしたりビジネスに関わる機会が少ない。
「まずは基本から!」というおエライさん達の一存で、入社3ヶ月ほどで転属。
そして、その行き先はゴリゴリの営業部。
不安…
ドイツハーフが日本企業で消耗するのは、ここからです。
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